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第2話:俺の相棒「うずしおくん」~洗濯~

 最初の任務|(朝食作り)を終え、一息つき二度寝をしようと思っていた矢先、九時過ぎにボスから携帯電話に一通のメールが届いた。

『今日は天気が良いのでお風呂の残り湯で洗濯して。期待してるわよ新米主夫さん♪』

 俺は短く『了解しました。』とだけ入力し返信メールを送った。

 やれやれ、ボスからの次の任務の依頼だ。断ることはできない。

 任務を放棄したらボスからお(とが)めを食らうはずだ。おとなしく任務を実行しよう。

 洗濯物はタイミングを見計らってまとめて一気に洗うに限る。

 ボスの言う通り今日は天気が良い。絶好の洗濯日和だ。

 俺は二度寝を諦めて洗濯に取り掛かった。

 洗濯は俺が独身時代、一人暮らしの頃から愛用している全自動洗濯機「うずしおくん」が活躍してくれる。

「うずしおくん」という名前は俺が勝手に名付けた。一応一流メーカーの製品なのだが主力製品ではなく廉価版製品で、特に愛称は無く無機質な型番のみだったので愛着が湧くようにと名付けた。

 洗濯物を分類しデリケートな衣類は洗濯ネットに入れてから「うずしおくん」の洗濯槽に放り込む。

 ボスの下着類やストッキングには細心の注意を払う。

 俺のTシャツやパンツは洗濯槽にそのまま放り込むが、ボスの下着類とストッキングは必ず洗濯ネットに入れなければならない。

 注水ホースを浴室の浴槽に入れ、「うずしおくん」の洗剤入れに洗剤を入れる。

 電源ボタン、ふろ水ボタン、スタートボタンを押して洗濯が始まる。

 今日も頑張ってくれよ、「うずしおくん」。きれいな洗いあがりを期待してるぞ!

「うずしおくん」が洗濯している間に俺はベランダでたばこを二本吸い、吸い終えると近所のコンビニにたばこを二箱買いに行った。

 たばこを買って自宅に戻ると「うずしおくん」はまだ洗濯の途中だった。俺は朝食の時に作ったコーヒーの残りをマグカップに注ぎ、自室で椅子に座りコーヒーを啜りながら洗濯が終わるのを待った。




 ふと物思いにふける。




 それにしても昨年末の会社からの突然の解雇が妙に気にかかる。

 在職期間中に一方的に解雇になるようなミスは一つも犯していない。大きなミスも些細なミスも一つも犯した覚えはない。なぜだ? なぜ俺は解雇されたんだ?




 考えあぐねていると洗面所から洗濯終了のアラームが聞こえてきた。俺は考えるのを止めて洗面所に向かい、「うずしおくん」の洗濯槽から洗いたての洗濯物をランドリーバスケットに移し入れた後、両手に抱えてベランダに向かった。

 ベランダに出てランドリーバスケットから洗いたての洗濯物を一つずつ取り出し、大雑把にしわを伸ばしてから物干し竿に直接もしくは、ハンガーや角型ハンガーにかけていく。

 洗濯物を干し終えると俺は自室に戻り、携帯電話を手に取りボス宛に『洗濯完了しました。』とメールを送った。

 俺はたばこを吸いに再びベランダに向かった。

 また一つ無事に任務を終えることができた。

 俺は暖かな日差しと爽やかな風を全身に感じながら任務完了後のひと時の休息を満喫した。

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