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第12話:掃除機がけは最低週二回!~部屋の掃除~

 六月二十日午前十時、今日は部屋の掃除、3LDKの自宅マンションの室内をくまなく掃除することが俺の任務だ。

 ボスからは部屋の掃除は最低週二回と仰せつかっている。

 俺は火曜日と金曜日を部屋の掃除日に割り当てた。

 和室の脇に置いてある掃除機を取り出して電源コードを引き出し、リビング脇のコンセントにプラグを差し込む。

 掃除機のハンドル部分のエコモードボタンを押すと掃除機はモーターの唸りを発する。今日も掃除機の調子は良いようだ。相棒、頑張っていこうぜ。

 まずは、和室から掃除を始める。畳の目にそって丁寧に掃除機をかけていく。

 次はリビングとダイニングだ。ソファの下やダイニングテーブルの下を重点的に掃除する。

 次はキッチン。キッチンマットの端を左足で踏み抑えて固定し、キッチンマットの上もまんべんなく掃除機をかけていく。

 次は廊下を掃除しながら移動しつつ洗面所。体重計、ゴミ箱、ランドリーバスケット、足ふきマットを一旦浴室に移してから掃除機をかける。

 体重計、ゴミ箱、ランドリーバスケット、足ふきマットを元の位置に戻して洗面所の掃除は終了。

 次に掃除するのは寝室。ベッドの下も隅々まで掃除する。寝室は特に念入りに掃除機をかける。だってボスとの愛を育む部屋だもの。

 最後に俺の部屋。我が家の中で一番散らかっている場所。床が見えている部分だけをちゃっちゃと掃除する。

 部屋の掃除はこれで終了。所要時間は約二十分ほどだ。

 リビング脇のコンセントから掃除機のプラグを抜き、電源コードの巻き取りボタンを押す。最後まで一気に電源コードが巻き取られると少し気持ちがいい。

 お役御免となった掃除機は和室の脇の元の位置に戻した。

 俺は自室に戻り椅子に座り一息ついた。




 ……、落ち着かない……。




 俺の部屋だけ散らかっているのはなぜだ?




 ……、そうだ、ボスが俺の部屋をゴミ箱代わりに使っているからだ!




 今まで当たり前に感じていて気にしていなかったが、俺の部屋はボスの要らなくなったものであふれている。読み終わった女性雑誌、ダンボールの空き箱、書類やハガキ……。

 ボスの唯一の欠点、それはボスは俗に言う「片づけられない女」なのだ。




「や、やりますか!」




 俺は掛け声一発、ボスの要らなくなったものの始末に取り掛かった。

 読み終わった女性雑誌は束ねてビニール紐できつく結んだ。

 ダンボールの空き箱は全てバラし、これもまたビニール紐できつく結んだ。

 書類やハガキは内容をよく精査し、個人情報の書かれているものはシュレッダーで断裁した。

 その後、バラしたダンボールの空き箱と束ねた女性雑誌を抱え、マンション一階のゴミ集積場に捨てに行った。

 自宅に戻り自室の入口から中を見渡す。まだ散らかっているがこれから徐々に掃除していこう。

 俺はたばことライターと携帯灰皿を持ちベランダに向かった。

 たばこを吸いながら俺は思った。

 今日片付けたのは片づけられない女の片鱗を片付けたに過ぎない。これからはボスにお伺いを立てながら俺が率先して片付けていかなければならない……。

 俺の心の中に静かに闘志が湧いた。

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