第10話:臭いにおいは元から絶たなきゃダメ!~トイレ掃除~
お食事中の方はお食事を済ませてからお読みください。
六月十八日、昼食は昨晩ボスが作ってくれた夕食のおかずの残りを食べた。
ボス曰く、夕食作りはその他の家事をしてくれるのなら当分の間免除するとのことだった。
しかし、カレーライスとハヤシライスを作るのは俺の任務となった。ボスが仕事で疲れていて夕食作りが億劫な時、俺がカレーライスもしくはハヤシライスを作ることとなる。
今日からボスに朝出かける前に今日やるべき任務|(家事)を一つずつ指示してもらうことにした。
今日の任務はトイレ掃除だ。俺は早速任務に取り掛かった。
まずは、便座カバーを取り外して洗面所に持って行き、洗濯ネットに入れて洗濯機の洗濯槽に放り込む。
その後、トイレに戻ってリネン庫からゴム手袋とトイレ用洗剤を取り出し、ゴム手袋を両手に装着する。
トイレ用洗剤を便器の内側・ふちの裏側にかけ、しばらくたった後にトイレ用ブラシでまんべんなくこすり、トイレ用ブラシの水気をよく切ってから水洗レバーをひねり水で洗い流す。
トイレ用ブラシをブラシ入れに戻し、ゴム手袋を外しリネン庫にしまうのと合わせてトイレ拭きシートを一枚取り出す。
便座、タンク、床、便器のふちの順に一枚のシートで拭いていく。拭き終わったトイレ拭きシートはトイレに流す。
次にリネン庫から予備の便座カバーを取り出し便座に装着する。
最後にタオル掛けの手拭き用タオルを新しいものに取り替えて終わりだ。
おっと、さりげなくボスにちゃんと任務をこなした印としてトイレットペーパーをホテルのトイレのように三角折りしておこう。
これで任務完了だ。
俺は自室に戻りたばことライターと携帯灰皿を持ちベランダに向かった。
たばこに火をつけゆっくりと吸い始める。
今日の任務は楽勝だった。ほんの二十分ほどで終わってしまった。
ボスの指示ではトイレ掃除は最低週に一回はやってほしいとのことだ。週二回の部屋の掃除とともにルーチンワークに組み入れよう。
たばこを吸い終えるとにわかに便意を催した。
くそ、ついさっきトイレを掃除したというのについてないぜ……。
俺は自室に戻りたばことライターと携帯灰皿を置いてからトイレに入った。
「ふんっ!」
トイレットペーパーで尻を拭くと、便座から立ち上がり便器の中を覗き込んだ。
惚れ惚れするぐらい見事な一本グソをひねり出した。
水洗レバーをひねり一本グソを水に流す。一本グソはゆっくりと排水口の奥へと流れていった。
「……、なんてこった。やっちまった、やっちまったぜ……」
ついてない。いや、ついている……。
つい先程きれいに洗った便器にクソがこびりついちまった……。
便器洗いはもう一度やり直しだ。
俺は再びリネン庫からゴム手袋とトイレ用洗剤を取り出し便器をこすり洗った。
二度目のトイレ掃除を済ませ、再度一服しにベランダに向かった。
たばこの煙を勢い良く吸い、勢い良く吐き出した。
俺は今日一つの教訓を教わった。
「教訓、トイレ掃除は排尿、排便を済ませてから行うべし!」
俺はたばこを吸いながら独りごちた。
当たり前と言えば当たり前の話だ……。




