プロローグ
これは、先に公開しているヴァンパイアの物語が終わるまで、ほとんど更新しません。気が向いたら少しずつ更新するかもしれませんが。申し訳ございませんがよろしくお願いいたします。
今日は日曜日。
私は拓斗君とデートをするため、今、池袋の駅で待ち合わせをしている。
待ち合わせ時間は朝の10時。
10時30分から始まる映画を一緒に見る約束をしたんだ。
「もう、いつも拓斗君は時間にルーズなんだから、もう待ち合わせの時間は過ぎているのよ。」
そんな1人事を言っている私は、
高校生2年生の浅野 彩百。17才。
これでも結構、モテるんだから。
なんて言っていますがあくまでも自称です。
「ん。もう。電話してみよ。」
彩百は、スマートフォンの画面をいつものように親指で操作し、拓斗の電話番号を見つけ、発信した。
「お客様の電話番号は、現在、使われていないか。電波の届かないばしょ」
あ~。もう、繋がらない。もう少し待つかな。
5分が経過した。
もう拓斗君、遅刻よ遅刻。
絶対許さないんだから。
もう一度、彩百は、発信した。
「お客様の」
あ~。出ない。
遅れるんだったら連絡くれてもいいのに。
何だかんだで時間は過ぎていき、もうお昼の12時を回っている。
あれから15分がごとに拓斗君に連絡をしているけど全然繋がらない。
毎回同じフレーズよ。
「お客様の電話番号は、」って。
拓斗君に何かあったのかな。
ちょっと心配になってきた。でも、スマホが繋がらないんじゃ、しょうがない。
彩百は、家に帰ることにした。
明日、学校で会ったら懲らしめてやるんだから。
次の日。
あれ、拓斗君。休みなの?どうしたんだろう。
一時限目が終わったら、また、電話してみよ。
プルルル。
「お客様の電話番号は、現在、使われていないか。電波の届かないばしょ」
また、繋がらない。どうしちゃったんだろう。ほんとに心配になってきた。
「ねえ、晃君。拓斗君は?」
晃は、拓斗の親友で、私達が付き合っていることは知っているが、クラスのみんなには、内緒にしてもらっている。
「ん。拓斗? 知らないけど。風邪じゃないの?」
「拓斗君と連絡着いた?」
「そう言えば、ラインで珍しく返信が無かったな。」
「そうなんだ。どうしたんだろう。」
「ま、そんなに心配すること無いよ。事故とかだったら家族から学校に連絡があるでしょ。」
「それもそうね。もう子供じゃ無いしね。」
「そろそろ授業が始まるから。じゃあね。」
「うん。ありがとう。晃。」
放課後。
私は、サッカー部の部室で、ボールを拭いている。
拓斗君と私は、選手とマネージャーの関係で、
他のサッカー部員は、
私達が付き合っていることは、薄々と気が付いているみたいだけど、
公認になると色々面倒なので、
頑張って隠し通している。
「おい、浅野。拓斗は今日、どうしたんだ。風邪か?」
そう言ってくるのは、三年生の生田先輩だ。
「生田先輩。何、言っているんですか。私が解る訳無いでしょ。保護者じゃあるまいし。」
「そうか。でも、来月から公式戦が始まるからな。拓斗がいないと困るんだよ。あいつは、守りの要だからな。頼むから拓斗と夜遅くまで遊ぶのは控えてくれよ。」
「遊んでいません。やめてくださいよ。そんな話をするの。キャプテンがそんな話をしていたら、私達が付き合っているって、他の部員に勘違いされるでしょ。」
「何、怒っているんだよ。冗談だよ。冗談。」
「変なことばっかり言っていると、ストライキしますよ。」
「ごめん。浅野がいないと、このサッカー部は終わりだ。これからもよろしくな。」
生田は逃げるようにグラウンドに走って行った。
きっと、生田先輩にもばれているみたい。でも、隠さないと。サッカー部は大事な時期だし。
プルルル。
ん。電話だ。
あ、拓斗君からだ。
「もしもし。拓斗君。昨日はどうしちゃったの?」
「彩百、彩百か?」
何か、拓斗君の声が疲れた様に感じた。
「拓斗君。大丈夫?」
「俺、今、どこに・ザザザー・いる・ザザー・解ら・ザザザー・い。・ザザー・たら電話・ザザザザー。」
「何、拓斗君。どこにいるの?」
「ツーツーツー」
あ、切れた。何、今の電話? 解らない。どうしよう。とりあえず、拓斗君に電話。
「お客様の電話番号は、現在、使われていないか。電波の届かないばしょ」
は~。駄目だ。繋がらない。
でも、また、連絡するって言っていたようだし、拓斗君を信じて連絡を待とう。
彩百は、残りのサッカーボールを拭きは始めた。
次の日。
私は、朝早くから学校に来ています。
いつも授業が始まる一時間前には席に着いて、教科書を開いて簡単に今日の予習をしている。朝に今日やる教科を予習をするかしないかで、頭への入り方が全然違うから。
サッカー部のマネージャーの仕事が忙しくて、家であんまり勉強ができない。でも、学業もおろそかに出来ないから、毎朝、早く来く学校に来ることにしてるんだ。
もうすぐ授業が始まるかな、なんて考えているとき晃くんが焦りながらやってきた。
「浅野ちゃん、拓斗から連絡がきた?」
「ん、来てないけど、どうしたの?」
本当は、拓斗君から連絡が来ているけど、あんな内容は話せないから嘘をついた。
「そうか。これを見て!」
そう言って晃は、ズボンのポケットからスマホを取りだし、ラインの画面を私に見せた。
そこには拓斗くんからのメッセージがあった。
「ここは何処?」
と一つだけ。
「昨日、メッセージが来たんだ。それで急いで返信しても連絡は無かった。でも、おかしいんだよな。普通は拓斗からのメッセージにはいつ、送信されたか解るはずなのに。このメッセージには時間の表記が無いんだ。」
「あ、本当だ。」
「だから、俺のとこに連絡があったから、浅野のとこにもあったかなあと思って。」
「実は、連絡はあったの。」
私は晃の耳元で小声で言った。
「え。」
晃は、私の行動に恥ずかしいがっていた。何故なら、クラスメイトが登校してきているから。
「この話は他の人に聞かれたら不味いから、後で、話しましょう。」
「わかった。」
そう言って晃は、自分の席に着いた。
昼休み、私は人気のない校舎の3階の階段の踊り場で晃を待っている。
「ごめん、待った?ちょっと友達に捕まって抜け出せなくて」