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Attack of the Killer 観覧車  作者: 熊子
12/15

第七章 文科相毒島、失脚

 夜半から降り出した雨は、しとしとと緩やかな雨脚ではあったが、確実に街を覆っていた。

 マリンシティホイールによって埋設電線が寸断され、大規模な停電に陥った六本木周辺では、剥き出しになった高圧線が、雨で漏電し、立ち入る事を困難にしていた。とは言え、そのままではマリンシティホイールの誘導の為にコンクリートブロック敷設の自衛官達も立ち入ることが出来ず、薮下の要請で、電力会社は電気の供給を止めた。結果、各家庭やオフィス等とは供給ラインの異なる信号機などのインフラ施設も沈黙し、僅かばかり残っていた光源の消失で、街は完全な闇に落ちた。

 「クソッ、どうなっているんだ。まるで思った方向に行かない」

 前線に立って指揮をする薮下が爪を噛んで、吐き捨てる様に言った。

 薮下は香澄の確立したマリンシティホイールの誘導方法と、香澄謹製の物理シミュレータを入れたノートパソコンを持って任に当たったが、雨によるコンクリートブロックの変質と、路面の潤滑性の上昇を見逃していた。無論、念頭にあったにせよ、仮定数値をマニュアル入力せねばならず、香澄と同等以上の頭脳が無ければ、成し得る事ではない。

 故に街中を誘導し続けるなどという事は、大通りだけならまだしも、場合によっては側道へ入らなければならず、薮下には不可能であった。苦肉の策で天現寺インターから、香澄がレールに使った首都高速2号目黒線の高架上に乗せた。

 しかし高速に上がったからと言って、それだけで状態が好転する訳ではない。道幅に関しては一定車線数確保し続けられるにせよ、むしろ一般道が直線道路が多いのに対し、高速は緩急の差こそあれ、そのほとんどがカーブで構成されている。その為、大きな転身きそ無いものの、こまめな誘導の連続となる。また、一般道であれば、少しばかり誘導を失敗したとしても、建ち並ぶビルに接触して側壁を削る程度で、マリンシティホイール自体の転倒は免れるが、高架の上とあれば、車線をはみ出すという事は、一般道への落下を意味する。一度のミスによるデメリットが比較にならない程に大きい。薮下がそういったデメリットに気付いたのは、既に天現寺インターからマリンシティホイールを高架上に上げてからだった。

 「駄目だ、このまま高速を誘導し続けるのは危険が大きすぎる。荏原インターから下ろす」

 完全な失策だった。そもそも、六本木方面から誘導し、天現寺インターで高架に上げると言う事は、高速道路を逆走するという事である。更に言えば、これを下ろすという事は、香澄が行った様に、カーキャリアトレーラーを使った方法でない限り、海側へ下ろすという事だ。そちらへ下ろせば、最早転進させ、もう一度逆側の高速に乗せるだけの面積的余裕は無い。

 荏原インターを下ろし、その先の誘導可能ルートを試算した画面を見て、薮下はようやくその事に気付いた。

 

 その後はただただ、速度を上げず落とさず、現行維持のまま、時間稼ぎの為の蛇行をしながら、おおよそ羽田方面に向けるしか無かった。

 更に薮下の管理下にあった香澄は元町ら内閣情報調査室に奪還され、なす術も無いまま時間が経過し、夜半を過ぎてようやく連絡が取れたという訳だ。

 「・・・という状況です。打開策はお有りでしょうか?」

 香澄に対し掻い摘んだ説明を終えた薮下が問うた。

 「策よりも、ワタシは現場指揮に戻れるんですか? そもそも今回の罷免は誰による指示だったのでしょうか?」

 「指示と言うか、決定自体は総理による物です。提議は毒島大臣によって出されましたが、彼に人事権はありません。また、私は現状においてマリンシティホイール関する全権を持っておりますので、形式上は私が決定権を持ちつつ、桐ヶ谷捜査官に現場指揮者として協力頂くという形であれば道義的には問題はありません」

 詰まる所、一時的に薮下の部下になれ、という訳だ。

 「乗客の救出と周囲への被害を抑えるという点においては、我々の利害は一致しておりますので、当方がそちらの管轄下に入るというのは結構です。しかし正直な所、薮下さんは政治家でいらっしゃる。救出失敗、乗客は全員死亡となれば、ワタシが指揮を取るにせよ、その責任は薮下さんが被る事になりますが宜しいですか?」

 意地の悪い聞き方だ。

 既に状況説明を聞いた時点で、香澄には、最終手段に近い物ではあるが、一つ策が思い浮かんでいる。それを薮下が感じ取っているのだとしたら、被る責任よりも、成功時に得られる名声の方が近く感じられるかも知れない。しかし、そうと素直に答えれば、それは自らよりも香澄こそが有能であると言うのと同義だ。逆に侠気を見せて、全ての責任は私が取ると言えば、香澄や内閣情報調査室に貸しを作れるかも知れないが、失敗の暁には、貸しを行使する為の議員としての立場が危うくなる。かと言って、全権を譲るというのは不可能だし、どういう企みがあるにせよ、薮下を推した、直上の存在である毒島の心象を損ねる。回答の選択肢が一つもない様に思えた。

 「管轄がどうと言うのは形式的な話ですよ。決定を出したのが総理である以上、私が自らの判断一つで職責を降りたり、桐ヶ谷捜査官に全権を与える事はできません。その為、確かに仰る様な形にはなりますが、実際の指揮やメディア等に対する露出は全て桐ヶ谷捜査官にお任せし、私は裏方の後方支援に回らせて頂きますので」

 そう答えた薮下は、さすがに四十代前半で文科省政務次官にまでなっただけの事はあった。香澄の想定した以外の選択肢だった。全方面に角を立てず、自らの無能を露呈する事もなく、成功時は名声を得られ、仮に失敗しても世論の槍玉に挙げられる事を避ける、絶妙なスタンスである。

 食えない男だと香澄は思う。

 「分かりました。では早速作戦立案の為の会議を行いたいと思います。場所の指定を願います。会議中の誘導は、シミュレータの可能ルートの中から、最も長い距離の稼げる物を選んで、現場の自衛官達に託しましょう」

 「了解した。その様に手配する。ところで、今はどちらに? 会議場所を近くに設けますので」

 言われて香澄は数秒沈黙する。まさか元町の所有するマンションでラブシーンだったとは言えない。

 「青山です。内調職員所有のマンションで、我々にとってセーフハウスの様な使い方をしている場所です」

 嘘は言っていない。それにセーフハウスと言っておけば、エス、つまり内定捜査を行うスパイや、重要参考人を匿うという理由上、安易に場所を打ち明けずに済む。

 ふむ、と言った後、薮下は同じ青山にある議員宿舎を会議場所に提言した。ラブシーンはともかく、香澄の思惑の半分はバレているだろう。

 「了解です。それと、先の緊急措置で私は車を失っています。あれと同等とはさすがに言えませんが、足のある車を一台お借り出来ればと思うのですが、お願いできますでしょうか?」

 「それについても、確約は出来ませんが、何とかしてみましょう。この緊急事態です、多少の無理は通るでしょう」

 「分かりました。それでは時間は二時間後で宜しいでしょうか?」

 「それで構わない。では後程、議員宿舎にて」

 短く言って薮下は電話を切った。

 「香澄、メイクラブは一旦お預けだ、良いな?」

 元町はこんな軽口の叩ける男だったのか。香澄は一瞬戸惑ったが、やれやれといった風で上目遣いに元町を見た。

 「桐ヶ谷捜査官、略式ではあるが、マリンシティホイール誘導と乗客の救出における現場指揮を改めて命ずる!」

 元町の顔は、内閣情報調査室室長のそれに戻っている。それを見た香澄もすぐに立ち居を正し、厳格な表情で敬礼の上、拝命しますと短く言った。

 「今度こそ、完璧に救ってこいよ。待ってるからな」

 元町が優しく言った。


 金山邸

 「旦那様、お電話が入っております。毒島様です」

 執事が言った。毒島か、今更あの男に用はないが仕方ない、何かマリンシティホイール絡みの新しい情報でも掴んだのだろう。聞くだけ聞いてやるとするか。回せと短く答え、受話器を上げる。

 「どうしましたか、毒島くん。私からの別命あるまで待機と申し上げた筈ですが?」

 「御大、薮下が裏切りました。自分の手腕ではマリンシティホイールを誘導しきれないと見るや、あろう事か桐ヶ谷香澄に協力を求めたそうで・・・」

 ほう、桐ヶ谷香澄を再度表舞台に呼び戻すか。面白い。六本木での咄嗟の判断は良いショーだった。あれをまた見られるのなら、願ってもない。

「つきましては、奴に制裁をくわえたく、御大のお力をお借り出来ないものかと連絡差し上げました」

 この男は、もう駄目だな。私の意向をまるで汲み取れない。

 「毒島くん、今から私の家に来られるかな? 直接話をしようじゃないか」

 「畏まりました。何を置いても伺わせて頂きます」

 思えば、毒島とも長い付き合いになった物だ。アレが泡沫候補として国政に打って出たのが三十代の頃だから、かれこれ二十年以上になる。

 能力がある訳でもなく、コネも金もない、口先だけの題目を唱える毒島は、どう考えても当選する器ではなかった。ただ傀儡になる国会議員が欲しかっただけで、政治家個人としての価値はどうでも良かった。むしろ金に転びやすい、無力な者の方が、御しやすい分だけ重宝したぐらいだ。政治家にさえしてしまえば、永田町などという猿山のボス争いは、結局のところ金があれば何とでもなった。あの無能者が今や大臣だと言うのだから、間違いない。まぁ、その地位に居られるのは、後僅かだがな。

 「毒島様がご到着です」

 執事も毒島の事など、何一つ評価はしていないだろう。様などと言っているが、それは私の客であるからだ。

 「いつもの部屋に通せ。それから、キャッシュで一億、奴への退職金だ。用意してやれ」

 今更顔を見るのも面倒だが仕方ない。最後の謁見だ。

 「毒島くん、呼び立ててすまなかったね」

 「いえいえ、御大のお呼びとあらば、いつ如何なる時でも馳せ参じますよ。何か私めに出来る事が御座いましたか?」

 犬の様な奴だ。まぁそんな上等な生物ではあり得ないがな。蟲め。

 「君にしかできん事だよ」

 「何なりとお言い付け下さい」

 「君、大臣を辞めてくれ。もう要らん」

 毒島が醜い顔を、更に醜くゆがませて私を見る。

 「は? 今、何とおっしゃいましたか?」

 「大臣の職を辞せよと言ったのです。ここに一億あります。大臣の椅子を開けてくれれば、私からの手向けとして、君に進呈しますよ」

 私の意向を汲む事も出来ぬ蟲には一億でも多すぎるくらいだがやむを得ない。逆恨みされても面倒だからな。

 「わっ、私が、大臣を辞めるですって? 冗談も程々に願いたい。御大、私が今辞めたら、お楽しみのマリンシティホイールは滅茶苦茶ですよ? ただでさえ薮下の若造が、取り立ててやった恩を忘れて、桐ヶ谷に助力を求めた今、私の権力が無ければ、お望みの惨事は得られませんよ? そうだ、そもそも、御大には薮下の始末をお願いしようと思っておったのです。どうか奴めにキツイ灸を据えてやって下さい。その時は私も様々にご協力させて頂きますよ」

 「煩い。喚くな蟲め。汚らしい羽音が不愉快だ。今すぐに一億を持って消えるか、さもなければ、大臣どころか議員でさえなくしてやるぞ」

 毒島の顔から媚びる様な笑みが消え、見る者に不快を与える様な恫喝の色が浮かんだ。

 「政財界の黒幕か何か知らんが、表舞台に出る事さえ出来ん爺が何を偉そうにしている? あんたの悪事はこちらもいろいろ押さえてんだよ。査察入れてやろうか? あんたは俺を操っていたつもりかも知れんが、こちらから言えばただの金ヅルよ。何をトチ狂って俺に大臣を降りろと言ったか知らんが、覚悟しておくんだな。ま、その一億を百倍くらいにしてくれるんなら、今までのよしみだ、聞かなかった事にしてやるから、大人しく薮下を蹴落とす役をくれてやらんでも無いぞ?」

 あまりにも低能奴だ。

 「査察如きで、私がどうにか出来ると思うたか、痴れものが。もういい、出て行け。貴様のお気に入りの某所に手入れを入れて置いてやる。その一億を持って、国外にでも飛ぶがいい」

 「某所、だと?」

 「渋谷の未成年者の売春クラブだよ。教育を司る大臣が、未成年者を買春となれば、終わりだ。それにあそこは、シャブも扱っている。上客にはミントとかいう名前で無償提供していただろう? 舐めて良し、挿れて良しの万能薬だ。未成年者の買春に、覚醒剤の使用、議員どころか一生塀の外には出てこれんだろうよ」

 それまで横柄という言葉でさえ足りなかった毒島の表情や態度が、私の言葉を聞くに連れ、見る間に変化していく。その程度の悪事を私が見抜けて居ないとでも思っていたのだとしたら、救いようのない愚か者だ。やむを得ない、意味も分からず犯罪者になるでは毒島も寝覚めが悪かろう。

 「君は私の意思さえ汲み取れなくなった。昔はもっと使える男だったのだがね。正直な話、桐ヶ谷香澄を買っているのだよ。確かに当初は君に命じた様に、マリンシティホイールによる破壊を楽しもうと思っていたよ。ただ、私はこうも言ったはずだ。『未だかつて見たことの無いショーを見たい』とね。そこを行くと桐ヶ谷香澄、あれがやってのけた救出劇は、正にショーだった。悪夢の様な破壊を遥かに越える高揚を私は得たよ。このままならば、もっと凄い物が見られるかも知れない。そう思った矢先だよ。毒島くん、君が、このショーの主人公を罷免してしまったのはね。愕然としたよ。君は忠誠心があり、私の望みを、何も言わずとも叶えてくれる、それはもう優秀な人間だと思っていたよ。なのにこの仕打ちだ。君には退場して貰うしか無いと思ったんだ。しかしまさか君が私を恫喝しようとは、夢にも思わなかったよ。ただ黙って大臣の席を辞してくれれば、まだまだ政治家として偉そうにもしていられたし、未成年者も買い放題だったんだ。しかしそれももう終わりだ。君は私を怒らせてしまったからね。先程も言ったが、その一億は君に進呈しよう。これから指名手配される君への最後の手向けだよ。さぁ、出ていきたまえ」

 毒島は既に私の声さえ聞こえていないようだった。その場にへたり込んで呆けた様な表情で宙を眺めている。

 「誰か。毒島くんがお帰りだ。この一億を包んで持たせてやってくれ!」


 香澄が青山の議員宿舎に着くと、その門前には既に薮下の姿があった。傍らには警官が二人と、もう一名男性が居た。

 「お待たせいたしました、薮下代議士。そちらの方々は?」

 「ご足労頂きましてありがとうございます。こちらは公安の坂上警視と、交通機動隊の木本巡査長と、同じく仲村巡査です」

 公安と交通機動隊とは奇妙な組み合わせだ。

 「桐ヶ谷捜査官、その節は知らなかったとは言え、失礼致しました」

 木本と紹介された巡査長が頭を下げる。

 なんの事かと香澄が頭を捻っていると、公安の警視である坂上が助け舟を出す。

 「桐ヶ谷捜査官、マリンシティホイールの崩落現場に向かっている時、今は亡き君のフェラーリに追いすがったフェアレディZの警察車両があっただろう? あれを運転していたのが彼らだよ」

 ああ、なるほどと香澄は思った。

 「いえ、確かにあれは知らなければ、完全に危険運転でしたから。警察の方なら追跡して当然ですよ。それどころか、あの運転、かなりの腕の方だなと敬服したくらいです」

 「そう言っていただけると助かります」

 木本は相棒である仲村と向き合って胸を撫で下ろす。

 「私と坂上警視は彼らに送って貰ったのですが、彼らが来たのはもう一つ理由がありまして。彼ら自慢のパトカー、これを君の代用車にと警察庁の上層部の許可を取り付けたので、その受領をして貰いに来てもらったんです」

 そう言って薮下は、白黒の警察車両様にカラーリングされたフェアレディZを指し示した。

 「宜しいのですか」

 香澄が木本・仲村の両名に向いて聞くと今度は仲村が答えた。

 「乗客達を助けるために、その身さえ省みない桐ヶ谷捜査官にお使い頂けるのなら、我々も光栄です。是非お使い下さい!」

 そう言って敬礼をした仲村の横から木本が笑顔で言う。

 「傷を付けるなとは申し上げませんが、せめてこれからも乗れる様にお返し頂けるとありがたいですな」

 「分かりました。善処させて頂きます」

 「桐ヶ谷捜査官、少々お耳に入れておきたい事がございます」

 木本から鍵を香澄が受け取るのを待って坂上が言う。

 「けやき坂の作戦中、自殺をする様に飛び込んだ男をご記憶でしょうか? 迫田と言うのですが、保護された後、警察で事情を聞いていた所、あの様な行為に及んだのは、稼業の工場で不渡りを出した際、ある男が巨額の金と引き換えに、何かの際に役に立てと言ったのだそうで、その結果が、あの飛び込みだった様なのです。」

 自殺教唆。それも、マリンシティホイールの救出活動の妨害を含み、その乗客達に向けた殺人未遂にさえ相当するかも知れない。

 香澄が坂上に強い視線を向ける。

 「ある男の名は、金山 盛太郎。聞き覚えは?」

 「戦後最大の仕手師。政財界の黒幕とも言われる人物。通称、蠱毒使い」

 「さすがにお聞き及びでしたか」

 坂上の所属する公安にせよ、香澄や元町の所属する内閣情報調査室にせよ、要するには内外の差こそあれ諜報組織だ。注意を向ける人物には共通する部分が大きい。金山はその権力が大きすぎて、どちらの組織であっても触れる事のできない、国内の最重要注意人物であるのだ。

 「迫田の件程度では、金山本人に届く事はないでしょう。しかし、これが事実であるなら、今後も妨害があるかも知れません。お気を付けください」

 「了解致しました。情報、ありがとうございます。薮下代議士、参りましょう」

香澄が薮下と連れ立って議員宿舎に入る背後で、坂上は敬礼をしていた。


 「桐ヶ谷捜査官、それで、何か策はお持ちですか? 先にもご説明した通り、お恥ずかしい話ですが、私の失策により、現在マリンシティホイールは、高架と河川、そして海による牢獄に囚われている状態です。お借りしたシミュレータによれば、猶予は残り四日もありません。早急な策が必要です」

 会議室に向かう廊下を歩きながら薮下が問うた。

 香澄は歩みを止め、体ごと薮下に向き直り、一瞬だけ目を閉じ、すぐに宙に向けて鋭い視線を向けて、呟く様に、けれど覚悟の様な強さを持って言った。

 「マリンシティホイールは、海に沈めます」

 薮下の背筋に悪寒が走った。

お待たせしました。

今回の後、残りは三話+エピローグという所まで参りました。

今回は、第一章で登場した、公安の坂上警視、交通機動隊の木本巡査長と仲村巡査が再登場となりました。

本作は群像劇の側面もあり、本来ならモブである様なキャラクターも、全て物語の進行に関わる人物として描く様にしており、次話もこういったキャラクターにも焦点を当てていく予定ですので、そちらもお楽しみ頂ければ幸いです。

また、メインストーリーもますます佳境に向けて加速させて参りますので、合わせてお楽しみください。



先述もしましたが、エピローグを抜けば、残りは三話のみとなりました。

そこで読者の皆様にお願いがございます。

次々々話、最終話にて、様々な立場で事態の収束を願う人々として、皆様のお名前を本文中に出させて頂きたいのです。

ご参加頂ける方が居られましたら、本作の感想にて、名前の使用許諾の旨、コメント頂きたいと思います。

是非、よろしくお願い致します。

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