story3。事件は突然に……
クレストが家を出てから数分後の事。突如事件は起こる……
アリーナがクレストのために料理を作ろうとしたとき、チャイムが家中に鳴り響いた。
アリーナは、警戒しつつも少しドアを開けた。
「こんな森の中にある家に何の御用でしょうか?」
アリーナは、恐る恐る、ドアの向こう先にいる人物に質問した。
だが、返答が返ってこない。だが、ドアの向こう先に誰かいるのは確実なのだ。
アリーナは、もう一度同じ質問を、さっきより大きな声で質問しようと声を出そうとした。
その時である……
少し開いたドアの間から銃口が覗き込んでいた。アリーナは驚き声を出すのをやめた。
「誰!? あんたもパパとママが仕向けた殺し屋!?」
アリーナが、そう質問すると、ようやくドアの向こう先にいる人物が声を発した。
「ご名答。だが、俺は君を殺す気など全くない。だから、ドアを開けろ。開けなければ、今すぐ君を殺すだけだがな」
「わかったわよ……」
アリーナはドアを開け、その男を家の中へ入れた。
その男は、家に入った後もアリーナに銃口を突きつけたままだった。
そんな状況の中で、アリーナはその男に質問を問いかけた。
「あんた……パパとママからの依頼で私を殺しに来たんでしょ? なら、なんで今すぐ殺さないの? 今なら私を殺すのは簡単よ。変身しそうな感じでもないしね……家の中へ入れてやったんだからこれくらい話してくれてもいいでしょ?」
その男は、多少沈黙した後、重く口を開いた。
「形上ではそうだ……君の親から依頼され、君を殺しに来た……だが、そんなことは俺からしたら重要な事じゃない。俺の目的はクレスト。君は、クレストの怒りを引き出すための囮。これくらいしか言えないな」
場に沈黙の重い空気が流れた。アリーナはこのままじゃいけないと考え、更に質問しようとしたその時である。突如、クレストを狙う男の携帯が鳴った。
クレストを狙う男は、銃口をアリーナに突きつけたまま電話に出た。
淡々と話をしている中で「この話は無かった事にさせてもらう」などという言葉が出てきたところを見ると、電話の相手は、依頼者のアリーナの親のようである。
少し時間がたち、クレストを狙う男が電話を切った。
すかさず、アリーナが質問する。
「今のって私の親からの電話?」
「ああ……今ので俺が君を狙った犯行じゃないのは分かっただろう? だから待とうじゃないか。クレストを」
クレストを狙う男が笑顔で答えを返した。だが、顔は笑顔でも、目は全く笑っていなかった……
「ええ……でも、待ってる間に私が変身しちゃったらどうするの? その事はどうせ、私の親から聞いてるんでしょ? なら、待ってる間に変身しちゃうかもよ」
「そのときは、変身する前に君の頭を打ち抜けばしまいさ。そうだろ?」
「ええ……確かにそうね……」
えらく淡々と返事を返してきたこの男に、アリーナは少し恐怖を感じた。
クレストは、この出来事をまだ知らない……