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出どころ知れない異世界より  作者: 耳朶楽
第一章
8/39

村八分

「あぁ?人族の・・・ガキ?」


シャスティナが窓から覗いた少年を見て一言呟くと村人達の視線は一点に集中した。そのいくつもの視線の先にはもちろんティアリスがいる。そしてこの閉鎖的で排他的で人族を悪しとする傾向の強いエルフが見たら自ずとその後の反応は決まってくるだろう。


「ひ、人族?」


「おい、人族がいるぞ!?」


「ジャリオ!どういうことだよ!!」


「どうするのよ!」


「まだガキだ、今のうちに殺しちまえば・・・」


「そうだな、それがいい」


殺せ、殺せとティアリスに向けられた明らかな批難の言葉と視線。

ティアリスがチラリとジャリオに目を向けるとあくどい笑が返された。


「(ちっ、やられた)」


ティアリスは安全な避難ルートをシュミレートし、逃げるタイミングを伺う。

しかしそこへサマドによる待ったが掛けられた。


「待つのじゃお主ら!」


「どいてくれ村長、人族であるからにはガキだろうと消さなきゃならん」


一人の男がそう言いサマドを押しのけようとする。


「落ち着くのじゃ!まずワシの話を聞けぃ!!」


サマドがそう叫ぶと“魔力を纏った声”が村人達を静止させる。


「ふぅ、この人族の子はワシが拾った(・・・・・・)


その言葉に村人達は衝撃が走る。その中にはイェラ達も含まれていた。

それもそのはず、ティアリスを拾ったのはイェラでサマドはその後の騒動を見かけただけなのだ。その後の騒動とはティアリスがジャリオにぶん投げられたことである。

つまり彼は己の地位よりもティアリスの安全を優先したのだ。そしてその事に人一倍驚きを見せているのはイェラである。彼女は一年前に河原でサマドからティアリスの身の安全については保証しかねると言われている、故にティアリスが発見された瞬間にすべてを諦めていた。

しかしそれがどうだろうか、今ティアリスの前には彼を庇うサマドの姿、イェラが予想していた来たるべき日の光景とは全く別物であった。


「け、けど村長、なんでそこのガキはジャリオの家にいるんだ!」


「これは、四年前にワシがイェラに頼んだのじゃ。村長という立場上この子をワシの家で保護することは出来んかった、じゃから元冒険者で人族にあまり偏見を持っていない彼女に頼んだのじゃ」


「ならこのガキを殺せばよかっただろう!わざわざ保護する意味も無かったはずだ!」


「それこそ!!」


一人の男の言葉にサマドは大きく反応した。


「それこそワシらが嫌う人族と同じじゃ、いつまでも殺されたから殺し返し、殺し返されたからまた殺し。何も変わらないじゃろ!!」


「ぐっ・・・ジャリオ!!お前はどうなんだ!四年間コイツを家に置いといたお前は!」


男エルフは矛先をジャリオへ向けた。しかしジャリオはどこ吹く風、悪い事を考えている時のニタニタした笑みを浮かべた。


「あァ?あー正直俺はすぐにでもぶっ殺したかったがなァ、うちの女共がうるせぇから置いといただけだ、俺からは何も関わってないしコイツからも何もされなかった」


ジャリオは一泊置いた後、だけどと続けた。


「けどまァ、ここでバレちまったからには流石にうちに置いとけねェよなァ?」


ニヤケ顔で半笑いしながらジャリオはそう言った。


「じゃ、じゃが、この子をここで殺すのは村長であるワシが許さん!」


「んあ?あァ・・・別に良いぜェ?殺さなくても」


周囲にざわめきが起こった。なにせこのジャリオはこの村でもかなり人族を嫌悪しているエルフ族であったからだ。四年間も家に置いていたこと自体が信じられないが、別に殺さなくてもいいと言う彼の言葉に住民は更に驚愕した。


「俺はよォ、家族3人で平和に暮らしていてェんだよ。けどよォ。こんな村中に知れ渡っちまってさァ、人族を匿っている村の恥なんて思われちまったら敵わねェんだ、だからよォ、もうコイツをうちに置いとくことは出来ねェんだ・・・」


ジャリオの口から出る言葉は全て事実だ。だがその言葉にはティアリスを貶めようとする意思が見え隠れしていた。


「村長がそんなにコイツを殺したくねェっつうのはわかった。けど俺はもうコイツと関わりたくねェんだ。だからよォ、俺のかわりにコイツを家に置いとけるヤツはいるかァ?」


言葉の最後にジャリオはティアリスにニィっとあくどい笑みを浮かべた。

そう、分かっているのだ。誰も手を挙げないことを。

「家族3人で平和に暮らしたい」「人族を匿っている」「村の恥」ティアリスを家に引き取ると言うことが村におけるバッドステータスである事を大々的に明言することで可能性の芽を潰したのだ。


「んん?誰もいねェのかァ?」


「(白々しい・・・)」


演技がかった態度で周囲の反応を確認するジャリオ。既に今の彼の立場は今までの演説も踏まえ、司会進行の立場を手に入れた。

そんな立場の人間が提案をしたらどうなるだろうか、頷くしかないのだ。


「じゃあ俺から1つ提案だ。村長は殺したくねェ、俺らは誰も家に入れたくねェ、それらの意図を汲み取って“外れにある空き家に住まわせればいいんじゃねェか”?」


外れの空き家とは、村の遥か北西にある坂を上った先の一件の家のことだ。20年ほど前から誰も住んでおらず、引き取り手も居ないため放置されているのだ。


「そ、そうだな!」


「それが良い」


「いい案だと思うわ!」


一人が賛成するとこぞって周りもそれにつられる。人間心理だ。


だがこれは彼等にとって最も“都合の良い”提案、つまり隔離だ。

ティアリスを彼等の目に付かないところへ捨てる。この場では殺さず、誰の管理下にも入らず、誰も害にならない。捨てた先で勝手にのたれ死んだらそれは誰の責任にもならず、ティアリスが勝手に死んだと言う判断になるための隔離。野放しとも言う。


「おい、クソガキ。今の話聞いてただろ?」


「・・・はい、行きます」


ティアリスは自らを村から隔離した。




「ここだ」


ティアリスがジャリオに案内されたのは高い草が生い茂り、森にぐるりと囲まれた古い家だった。


「草ボーボーだな」


「私子供の頃ここで遊んでたなぁ」


「あっ私も」


何故か村人も付いてきていた。


「さてクソガキ、ここが今日からお前の家だ」


「はぁ・・・」


「俺らはもうお前に干渉しない」


「あぁ」


「だからお前をこの場で殺すことだけは見逃してやる」


「・・・・・・」


「だからお前も俺らに関わるな」


「・・・わかった」


ティアリスが了承の意を唱えるとジャリオは大声で周りに言いかけた。


「聞いたか!!今コイツは二度と俺らに関わらないと約束した!」


周囲からおぉと声があがる。


「なら問おう!もしこの約束を反故にした時、お前はどうする?」


「・・・完全にこの村から姿を消します」


「ククッ、聞いたか!!」


ジャリオは更に声を大きくし大事(おおごと)にした。


「じゃあ確認だ、お前が自分の口でコイツらに今の事を説明しろ」


背中を押され、村人の前に出される。


ティアリスは息を大きく吸い込み宣言した。


「僕、ティアリスは今後貴方達に干渉しない事を誓います!この約束を破った場合、僕は貴方達の前から姿を消します」


しんと静まり返った中、笑いをこらえきれなくなったジャリオが叫んだ。


「クハハ!そういうことだお前ェら!!わかったな!!」


下卑た笑い混じりの声で。

友人にこの作品の今後の展開について意見を求めたんですけど、内容がエグいと言われました。


誤字脱字意見感想気になる点がありましたらご連絡くれると幸いです。


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