お米のはなし
日本食といえば、まずはお米。最近はブランド米が流行りで、北海道でもたくさんのブランド米が出てるんですよ。本州向けには「ゆめぴりか」を強烈プッシュしているそうですが、個人的には「ふっくりんこ」なんかもお勧めです。……高いんですよ「ゆめぴりか」。スーパーでもあんまり売ってませんし。
今でこそ北海道米の味も知られてきましたけど、少し前までは「おいしくなさそう」と敬遠されてきました。もともと米って暖かいところの植物ですしね。北方圏に属する北海道じゃそう思ってしまうのも仕方ないんですけど。
で、ブランド米の筆頭格といえば? ……というのが今回の話です。うっかり前置きが長くなりました。
生まれた場所と育った場所が一致しない私ですが、生まれたときからの幼馴染がいます。えーと、いちいち幼馴染と打つのが面倒くさいのでTちゃんとしましょう。
Tちゃんとは生まれたときから……ある意味、生まれる前からの付き合いです。父の同僚の娘さんで、同時期に同じ場所に転勤して、ほぼ同じ時期に生まれたのが私とTちゃん。私の兄とTちゃんのお姉さんも同い年でほぼ同時期生まれってこともあり、家族ぐるみの付き合いです。
四歳まではほぼご近所で育ち、転勤先から戻ると、車で三十分の距離ということもあり、年に何度か会う程度の関係でした。で、小中は違う学校だったんですが、高校は同じところに通うことになったんです。
私立高校だからなのかもしれませんけど、その高校には学食がありました。名物は元・フレンチシェフが作る日替わりランチ。カレーはまあまあの味。麺類は……なんというか出汁が微妙でした。まあ、値段が安いから仕方ないんでしょうけど。
で、ある日のことです。偶然学食ではち合わせて、一緒にご飯を食べることになった私たち。私はカレーを、Tちゃんは日替わりランチを注文。食べているときにTちゃんがこう言ったんです。
「ねえ、生野ちゃん。ここのごはんもあんまりおいしくないよね」
「へ? そりゃ手放しにおいしいとは言わないけど、こんなもんじゃない?」
付け加えると、私の母もTちゃんのお母さんも料理上手です。特にTちゃんのお母さんが作るゼンマイの煮ものは絶品です。
「うん、あのね。中学校の時は(※Tちゃんは小学校時代の半分以上を国外ですごしました)給食だしおいしくないのは仕方ないかなって思ったの」
「ま、給食だしね(※私たちの時代の給食はイカレた献立が多かったんです)」
「高校に入ったらご飯おいしいかなってちょっと期待してたからさあ」
「……安いからね。っつかそれ、兄貴に話したら怒られそうだな」
「Kくん? え、怒るとこ?」
「兄貴、うちの学食のメニュー聞いたら豪華すぎるって怒ってたんだよ。ランチセットとかありえないだろーって」
「ここ、豪華なのかな?」
「豪華だよ。兄貴んとこ、丼物がメインだもん」
ええ、豪華です。フレンチシェフが腕をふるうクリームコロッケとか何それ、と今でも思います。しかもそれがワンコイン!
その日家に帰ってから、夕飯の時にそのことをちょっと話してみました。
すると母が一言こう言いました。
「魚沼産コシヒカリと比較するほうがおかしいでしょ」
「……へ?」
「Tちゃんちのごはん、おいしいでしょ? あれ、Tちゃんのお母さんの実家で作ってるやつだよ」
曰く。Tちゃんのお母さんは新潟出身。そういえばちょっと訛りがありました。さらに、親戚は魚沼でコメ農家をやっています。
実はTちゃん、お家で食べているのは減農薬で作った魚沼産コシヒカリ……しかも玄米で届くからたいてい精米したて……を日常的に食べていたんです。そりゃあ外のご飯がおいしくないわけですよ。
埼玉から札幌に引っ越してきた今でも、Tちゃんの家とは付き合いがあります。こちらからはじゃがいもやアスパラガスを届け、あちらからは魚沼産コシヒカリ(玄米!)が届くというグルメ交換をしています。
今年も届いた新米は、今食べているお米がなくなったら精米してくるそうです。となると、まだ先か……待ち遠しいなあ。
おいしいご飯を炊くには研ぎ方と水加減が何より大事。新米は水分を多く含んでいるのでいつもより少なめの水加減で! あと、洗剤で洗うというのはギャグ漫画の中だけにしてください。