お洋服屋さんに直行です。
みたらお気に入り登録されてた…!
ありがとうございます!
……びっくりぃ……
あ、今回、セリフ読みにくいかも?と思って離してみました。
投稿してしまったやつも直すべきか直さざるべきか…う~む、悩みどころです。
私は静寂を消し、お父様からの手紙をきちんとしまってから立ち上がった。
「お嬢様?」
「一週間後に王都行くから準備するための買い物に行こー」
「かしこまりました」
という訳で。
「あの、クリ…ごほんっ! カレン様……」
「 カ レ ン !! もー何度言ったらわかるかなあ、サラサ。それに様もなし! 変装してる意味がない!」
「う…で、ですが…」
「むー……しょうがないなあ」
「はい!」
私たちはレオタール家の御膝元、『サフラン』に変装をして来ていた。
というか、私とルリは一日の大半をサフランで過ごしている。
レオタール家の中で領地事情に一番詳しいのは、間違いなく私達だ。
あ、サフランとは私達の領地の名前。
かなり治安もいいし、法律守られてるしっていうんで凄く人気なんです。運が良ければお母様やお姉様、お兄様を見られるからっていうんでも人気の一つなのですが。
サフランを歩く時、私たちは変装をする。
どこからどうみても平民の娘っていう恰好で、もちろん、貴族の娘が御忍びで行くためのありがちなネタ―――自分的にはまぎれてるつもりだけどかなり上質な服を着ててバレバレ―――は絶対にない。
私は幼くして異世界だと自覚してからこれ後、絶対に異世界転生のために起こる数々のトラブルが自分に振りかかることのないようにやってきた。
私、頑張った。それには頑張った。
……まあ、その、ちょっと生来の好奇心は抑えられなかったけど……
『好奇心は猫をも殺す』ってならないといいなあ、なんて思ってるのです。
「あの、今日は……どちらへ?」
ただ、どれだけ頑張ってもルリアは私への敬語はとれなかった。先のやり取りは私達の恒例行事だ。
名前に『様』付け……町娘に仕えるような人がいるわけないのにっ!
なのでサフランの町では私達の認識は『貴族じゃないけどそれなりにいいとこのお嬢さん』ぐらいになっている。まあ、一応ルリについては「以前助けた恩を感じて」とかなんとか言っているんですが。くっ、ただの町娘のはずだったのに…!
「リリアさんところ」
「リリア様のところへ?」
「うん、さすがに王宮に着ていく服はないからなあ」
リリアさんとは碧色の髪の碧色の瞳の物凄く美人な御姉さんだ。
見た目、二十代なのに実年齢四十という………信じられない。
信じられないけど、さすがに私もあの両親たちから生まれ、育ってきたので聞いた時は内心で「なんなの!? この世界の人は実年齢と顔年齢がどうしてこうも違うの!?」と叫んだけど、信じたよ。
この世界、亜人いないんだよ?
魔人はいるのに…。
それを知った時、がっかりした私を許して下さい。
そして、エルフでもないのにどうして彼女はこんなに若いんでしょうか。
そして彼女は、私がレオタール家の三女、クリスティーヌだと知っている数少ない(?)人。
なんていうか、注文の服を本当に期待通りに作ってくれる。もしくは手に入れてきてくれる。
どうやってかは分からないがそこかしこに伝手があるらしい。
………いや、ちょっと、心当たりがないでもないが、考えない考えない。
そして彼女はただの一軒家に住んでいる。どう見てもただの一軒家。
だが、一応、家業は服屋らしい。二回がリリアさんの住む部屋。
看板もかかってないのによく営業できると思う。……なぜだ。
「こんにちは~」
ただの一軒家のようなドアを開けると、質のいい服がどっさり。
中から美人オーラ漂うリリアさんが出てきた。
「はぁい、いらっしゃい……あら、クリスお嬢様とルリアちゃんじゃないの」
「リリアさん、こんにちは。それと御客さんいないからってばらさないで。今はカレン!」
「私はサラサです」
「はいはい、カレンちゃん、サラサちゃん、どうしちゃったの~? 今度はどんな無理注文?」
「無理注文って……そんなことしてません」
「へぇ? この前の注文、もう忘れちゃった? ちょっと魔人の奴隷市場に行きたいからそれ相応にみえるようにとか、その前の魔獣にみえるようになる服とか、あと、10歳年下にみえるようにとか、それから町の騎士団にはいりたいから騎士団の服とか、あとそれから」
「待った!」
まだまだ続けようとした彼女にストップをかける。
「た、確かにちょっとアレかなあ、と思わないでもなかったですけどーー…今回は普通の注文です」
「あら、そうなの?」
「……全然信じてないね」
「日頃の行いよねえ。それで? 私としてはカレンちゃんがいう”普通の注文”っていうのが気になるわぁ」
「夜会用ドレスを二着、最新流行ものを一着、貴族のお嬢様らしい普段着ドレスを……」
「ちょ、ちょっとまってちょうだい!!」
まだまだ注文を続けようとしたら綺麗な緑色の瞳が驚愕に見開かれていた。
ルリもまた同じような顔をしている。
う~ん、綺麗な人が驚いた顔をすると可愛いよね、とか思っていたら
「な、本当にまともな注文じゃないのよ!? どうしちゃったの!?」
「はぁ、ちょっと手違い(?)で王都に行くことに決まって」
「え、は? 王都?!」
「そう。一週間後なのでその前後ぐらいに届けて貰えたら嬉しいな、と」
「は!? 一週間後!?」
「といっても形ばかりのドレスだし、流行用は何時も通りのルートに」
何時も通りのルートというのは孤児院行きということだ。
もしくはバラしてうっぱらったお金の三分の一を寄付。残りは私の懐へ。
「いや、ちょっと待ちなさい!! いくらなんでもそれだけのものを一週間後までにっていうのは無理よ!? 王都ってどれくらいかかると思ってるの……」
がっくりした感を出しはじめたリリアさんに私はにっこりと笑って告げる。
「ああ、別に大丈夫ですよ? 屋敷の方に私が頼んだって言っとくから届けてくれれば、ちゃんと私のところまでくるから……ん~一ヶ月後とか、むしろ半年とか一年後とかでもいいよ? 私としては3日でこっちに帰ることを望んでるんだけど…」
それは難しそうな気がする。
仕事の休憩時間にお母様の顔を見れる状態をお父様が手放す気は全くしないし。
いや、別に、王宮に住む部屋貰ったって……それって物凄いことだよね、今考えると……いや、いいんだよ、だってお父様だもん、うん、でも結局同じ屋敷内にいるってことでしょ?うん、やっぱなあ、領地改革やってる時と同じ状態になること間違いなしだよね!こう、執務室から桃色の空気が漏れ出る漏れ出る―――……うわぁ、御城の人達大変だろうなあ。
「ちょ、は!? 王宮!? え、何、どうしちゃったのよ!?」
「うん、まあ、実はカクカクシカジカで」
と具合に事情をリリアさんに御話ししたらぽかん、と口を開けてよろけた。
「だ、大丈夫?! リリアさん! サラサ、水!」
「はい、カレン様」
「う、ううん、大丈夫よ、サラサちゃん。ありがとう……カレンちゃん、相変わらず、領主さまったらラブラブね~…」
「うん。そろそろもう一人ぐらい兄弟出来るかもね、あ、そしたらそれ理由に家に帰れるかも?」
新たなる可能性に私の瞳はキラキラとしていたと思う。
が、サラサが―――あくまで変装中はサラサとカレンだ―――申し訳なさそうな顔をした。
「それは…どうでしょうか、カレン様」
「え、なんで」
「王宮、といいますか、現陛下がどういう意図でサマエル様を王宮内に縛りつけようとなさっているかも分かりませんし」
「うわぁ……私、それ考えないようにしてたのに」
「……カレンちゃん、嫌なことを後で考えようとするのは悪い癖よ~?」
陛下に「縛り付け」という表現をつけるのもなんだかなあ、であるが、まあ
「ん~、まあ、そればっかりは行ってみないことにはどうにも出来ないので。それと、リリアさんにもう一つ、注文が」
「ええ、もう何が来ても大丈夫よ?」
「わ、本当ですか? なら王宮のメイドさんとか従者とかの使用人の服を三着ずつ、一揃いよろしくお願いします」
「はぁぁぁ!?」
「大丈夫ですリリアさんなら出来ます私は今までの腕を信じています夜会用ドレスとかほんと適当でいいんでこっちのほうに力をいれてください新しい寝巻もよろしくお願いします手に入れたとかでもいいですけど着心地を考えるとリリアさんのがいいんですよねじゃ、私達他に王都に持っていく準備があるので!」
私は早口でまくし立て、呆然とするままのリリアさんを置いて店を出た。
「相変わらず、無茶苦茶言うわよね~…」
二人が去った後にリリアは、一つため息を吐く。
昔色々やらかしてしまった自分が言うのもなんだが、あのお嬢様はあの歳で大層色々やらかしている。
しかも、自分が若いころ色々やらかしてしまった以上に既に色々とやらかしているようで。
まあ、帰って来た時の話が面白いからいいけど。
そう思ってしまっている時点でかなりクリスに甘いのは自覚しているのかいないのか。
「にしても王宮の使用人の服を一揃いって……今度はなにやらかすのかしらんっ!久しぶりにあいつに会いに行くのものいいかもしれないわねぇ~」
ふふふ……と笑うリリアは表に「しばらく休業します」の札をかけ、店の奥へと消えて行った。
一人でた。主人公を支え続けたお姉さん。
かなりハイスペックです。
服関連なら何でも揃えてくれます。
報酬は主人公の手料理&お菓子です。




