兄様、LOVEです!
お気に入り登録してくださった方、本当にうれしいです。
ありがとうございます。
あと、姉様出なかった…!
仮にも侯爵家の連れの人に剣を向けるって………どれだけ短絡的? いや、単純? ただの馬鹿……?
馬鹿とは話したくない。
私としては「どうでもいい。穏便に!」って感じだが、今、私、外用だしなあ、ああ、なんて面倒なんだろう。
クリスティーヌとして、というか、レオタール家次女として、この場合、どういう態度をとるべきなんだ。
はい、ルリ、殺気向けない。なんか、さっきより、アッチの空気が悪くなったでしょうが。
……仕方ない、何かよくわからない(こともない)勘違いをしている彼らと"お話"をしよう。
決意をして口を開いたら、
バンッ!!!
と、扉が開いた。
「……ちっ! 成り上がり貴族が! 私のほうが上だというのに……! いつか吠え面かかせて、私の足元に……ん? 誰だ、お前」
私も聞きたい、あんた、誰。
姉様がいるらしい部屋から出てきた男の登場に、決意して開いた口を閉じて相手を観察した。
まあ、悪くない。
肩幅は広いし、全体バランスも悪くない。
兄様と同じ文官であることを示す、鷹の紋様入りの制服を着ている。
(んー…3点っ!)
100点満点中、である。
顔だけなら、20点くらいだが、さっきの態度と話した内容と、今ルリを見る目付きの嫌らしさで点数を引いていく。
この人の眼……気持ち悪いし。
とはいえ、私の点数はかなら厳しいらしい。
リリアさんには一度「うわ、鬼畜ねぇ~」と言われた事がある。
日本より美形率が高いこの国で、私が50点より多くの点数をつけたことは、殆どない。
基準が、兄様や父様なのだから仕方ないのだ。
そう考えると、この男、いっそ、0点の方が……
「ほぅ… ここのメイドか? 見慣れない顔だが……新入りか? 中々良いな……おい、お前、今夜私のところに来い」
私を通り過ぎて(……)ルリの顎に手を当て、じろじろ見ている顔に、後ろから脳天づきを食らわせるのと、伝家の宝刀キンタマ蹴りを食らわせて歪ませる、という選択肢がでた。
もう一つ、名乗り出ての自己犠牲の選択もあるが、流石に私、そこまで自分を捨てていない。
初めては、好きな人とっ!は全世界(異世界も可)の乙女達の夢だ。
…………ルリの瞳が恐ろしいことになっている。
元々、見た目だけならクールビューティーな彼女が、背筋凍るかってくらい冷たい空気を作り出しているため、雪女もかくや、である。無言なのに、わかる。
(お嬢様、コレ伸していいですか、足の骨、折って歩けなくしていいですか)
って聞いている。
………ルリがぶちギレる前に権力振りかざそう。
私は、すっとこの気持ち悪い男の前にでた。
「申し訳ありませんわ。その子は私のものですの。貴方がどこの誰かは存じ上げませんけれど、差し上げることは出来ませんわ。お引き取り下さいませ」
心境としては、ルリから手を離せナルシスト、である。
「なんだと、貴様! 私を誰だと思って……ほぅ…? お前もなかなか……」
とか言いながら近づいてきた。
やめろー近寄るなー気持ち悪いー私に触っていい異性は私が認めた人だけなんだっ!
先程のルリと同じように顎に手を当てられそうになって、
よし、この手、叩き落とすぞっ!
と身構えたら、あら不思議。ペンダコとケンダコができた綺麗な手が、気持ち悪い男の手首を掴んでいた。
「汚い手で………何しようとしてるのかな? アンソラ子爵」
凄味のある笑顔で、冷ややかな声が告げた。
その声と笑顔の主を瞳に映した瞬間、私の体から力が抜けて、その代わりに私の頬に赤みが増したのが自分でもわかった。
兄様ぁぁぁぁぁぁっ!
物凄く素敵ですっ!
超かっこいいですっ!!
やっぱり兄様は王子様ですっ!!!
私はうっとり、である。
ルリも顔を真っ赤にして、これまたうっとりである。
やっぱり、ルリも兄様のかっこよさにやられたのっ!?
うんうん、仕方ないよね、この格好よさだものっ!
「アンソラ子爵? 何をしようとしていのか、説明してもらえるかな?」
「……っ、フェリクス、どの……いえ、少しそこのメイドと話を、と」
「メイドとは……そこにいる?」
「あ、あぁ、そのメイドがこの主人のものだというのでな、譲ってもらえないかと交渉を」
「なるほど。私の妹の専属侍女を、貴方に……? 有りえませんね」
「な…っ!? 貴様の、妹、だと!?」
アンソラ子爵がこっちを驚愕の顔で見てきた。
そりゃ、似てないとは思ってるけど、やっぱり家族だから似てる部分もあるし、そこまで激似ってわけじゃないだけだもん。
ちょと剥れる。
あ、兄様が、自己紹介って催促してる気がするので、いきまーす!
「お初にお目にかかりますわ、アンソラ子爵? クリスティーヌと申しますわ」
今後よろしく、とは、したくないので言わない。
にこっと笑って、兄様と腕を絡めた。
ぴきっとアンソラ子爵の顔が引きつる。
後ろで、さっきから喋っていた騎士が真っ青になっている、あ、無言だったほうはそれを通り越して真っ白である。
大丈夫だよ、言わないよ、剣向けられたなんて、私の口から言ったりしないよー
と目線で伝えてみようと試みてみたが、ますます顔色が悪くなっているので、上手く伝えることはできなかったようだ。残念。
「この、方が……フェリクス殿の、妹君、ですと? しかし、貴方様の妹は……」
「先ほど、到着したんだ。次女のクリスティーヌだ」
「次女……噂の、」
「それで? まだ私の家の者に用があるのかな」
「っ、い、いえっ! そ、それでは失礼します。クリスティーヌ様も今度ゆっくりお話でも致しましょう! で、では」
真っ黒い霧が見える。
背筋が凍るくらいの恐ろしい雰囲気を出していた兄様は、アンソラ子爵がそそくさと見えなくなった途端、それらを綺麗さっぱり何処かにおさめて、心配そうな表情で私を覗き込んだ。
「大丈夫だったかい? クリス……アレがでてきたら叫ぶか何かして教えてくれ、約束だ」
ゴッキークン、扱いですか、兄様。
「クリスティーヌ?」
「あ、はい、分かり…ましたわ、お兄様。あの方が現れたらすぐに叫びますわ。だから、叫んだらちゃんとすぐに来て下さいませ」
兄様の目が怖かったので、すぐに頷いた。
私の返答に、兄様はにっこり、満足げに笑って、続けた。
「あ、クリス。ルリアが惚けてるから現実に戻してきて」
「ルリア?」
ルリを見ると、何故か未だに、ぼうっとしている。
どうしたの、ルリ。大丈夫?
「ルリア、何をぼうっとしているのですの、早くしゃきっとなさいっ!」
「は、はいっ! すみません、クリスティーヌお嬢様っ!」
しゃきっとしたルリを確認して、もう一度、兄様と腕を絡めた。
この位置、凄く安心するんだよね~♪
さぁ、それでは、姉様のもとへ、レッツg
「「も、申し訳ありませんでした!!!!」」
「ちょっとっフェリクス!? いつまでチンタラやっているのですの!? どうしてさっさとクリスティーヌを連れてこないのです!!!どうやったら、こんな短い期間で油を売っていられるのですの!?」
扉が、バァンッ!!という凄まじい音を出して開いたら、女神様のような女の人が現れました。
………姉様、所々、素が出てます。
それと騎士さん、せっかく、私がなかったことにしようとしていたのに、どうして掘り返すんですかねっっ!?
あー…!!
面倒な事になったぁぁぁ……!!
調べてみたら、メイド<侍女なんですね。
というわけで、使い分けてみた。
それから、勢いだけで書いているため、主人公が侯爵家令嬢という立場ということを忘れます。
その都度のご指摘、よろしくお願いします。
……常識ないので、王宮のマナーとかわからないんです……