悪女として処刑されたら国が滅んだと守護獣様が死に戻りさせた。国を救えと言われたがお断りします!
連載を考えている予定の小説です。
短編の評価で決めたいと思います。
☆☆☆☆☆を押して貰えると嬉しいです。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
シオン・クロウはクロウ王国の第一王女であり、長年戦争していたスワン王国に嫁ぐ事になった。長年の戦争でお互いの国が疲弊し、別の国の介入が恐れられたため、和平の為の政略結婚だった。
シオン王女は18歳
クロウ王国は黒髪に青い目の種族であり、相手のスワン王国は白い髪に、緑色の目をした種族であった。この対照的な外見が戦争の理由の1つであった。大昔、海を渡ってやってきたのがスワンの一族だった。
当時はお互いの国の間には大きな森があり、交流もろくにできない状態だったが、長い年月が過ぎ、整備が進んだ事で、森に街道ができお互いの国の交流が生まれた。
お互いに良い時代もあったのだが、今世代はお互いの容姿が違うと言う事で、国民感情が爆発し戦争に発展したのだ。
約5年にも及ぶ戦争はお互いの国力低下と疲弊を招いた事で休戦となった。
そして、和平を結ぶためにお互いの王族が婚姻を結ぶ事になったのだ。
シオンは政略結婚とはいえ、国の民の為に受け入れたつもりだったが、相手はそうではなかった。
結婚式の夜──
「お前を愛する事はない。俺には愛する女性がいる。お前とは政略結婚だ。白い結婚で十分だろう」
相手のコハク・スワン様はそう言って出て行った。
年齢は20歳の王太子だ。国同士の約定を理解していないのだろうか?
それからシオンは敵国で孤軍奮闘する事になる。
わざと違った時間を教えられたり、失礼な作法を教えられたり、渡してはダメなプレゼントを贈ったりと、味方がいないため次々に嘘を教えられ失敗を重ねて最後には、現国王の暗殺未遂の容疑者にされてしまった。
そして、弁解も虚しく最後は公開処刑となりギロチンで首を刎ねられて死んだ。
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
はずだった。
気付くと真っ暗な空間にいた。
『我が声が聞こえるか?』
声の方を向くと、真っ白で光輝く『白鳥』が存在していた。
「だれ?いえ、何者ですか?」
『我はスワン王国の【守護獣オオハク】である。シオンだったな?貴女が処刑された後、スワン王国が滅んだのだ。我は守護獣としてそれを防止したい。しかし、我の声や姿を見る事ができる者がスワン王国には居ないのだ。それで、滅びるきっかけとなったそなたをこの空間に呼び出したのだ』
なぜに私?
っていうか、私は処刑されたシオンじゃないんだけど?
今回、守護獣には最大の誤算があった。
守護獣の誤算は、処刑されたシオンは今までの酷い扱いと、処刑されたことへの絶望で魂自体が蘇る事を拒否したのだ。自分の殻に閉じこもってしまっていた。
その時、異世界転生してきた『彼女』の魂がシオンの肉体に入ってしまったのである。
しかも、シオンの記憶を引き継いでだ。
『頭が痛い……これはシオンの記憶?』
2人分の記憶が脳内に流れ込んだため、気分が悪かった。
『おい、聞いておるのか?なぜかお前は私との波長が合う稀な人間だ。だからこの空間に呼ぶ事ができたのだ』
はぁ、落ち着いてきた。
「聞こえてます。それで私になんの用ですか?」
『実際にはおまえは生き返ったわけではない。時間を巻き戻したというか、過去の世界に記憶を持ってやって来たという状態だ』
「それは凄いですね。そこまでして何をお求めなんですか?」
『それは無論、国を救って欲しいのだ。国の守護獣である我も、国が滅んでは死んでしまうのでな」
何だよ。
自分のためじゃんか!
「ちなみに、どちらの国を救えと?」
『スワン王国に決まっているだろう!』
こいつバカじゃない?
「守護獣様はバカなんでしょうか?どうして私を処刑した国を救わないといけないのですか?」
『おまえしか我の波長が合う人間がいなかったからだ。それに褒美は生き返らせてやっただろうが』
本人の意思を確認せずにね。
「それは私の意思ではありません。それにどうして今まで散々シオンを蔑ろにしてきた国を助けなければならないのですか!こんな国、さっさと滅んでしまえばいいっ!」
これはシオン本来の気持ちが溢れた本心の言葉だった。気丈にも王女として国のため民のために耐えていたが、それでも18歳の少女だったのだ。
長年の酷い扱いに、最後は処刑され心が壊れて憎しみに染まっても仕方がないのだ。
『それは困る!それに過去に戻った事によりおまえは、ある程度出来事がわかるであろう?うまく妨害を避けてより良い未来に向けて進めるのではないか?』
!?
ふむ?
確かにそれはその通りだ。
それに『シオン』の記憶があるとはいえ、『私』も訳のわからないままこのまま消えるのも嫌だしね。
とはいえ、味方もいない状態でどうにかなるのか?
いや、味方がいないのなら作ればいいのか。
例えば相手の弱みを握るとか金を握らせるとか………
神様的な存在にあった記憶もないし、使命とかもなさそうだし、やるだけやってみるか。
あ、目の前にいる白鳥が神様的存在か。あてにできそうにないけどね。
1つだけ質問してみた。
「ねぇ、クロウ王国にも守護獣っているの?」
『………………ああ、いる』
なんでそんなに間が長いのよ?
「もしかして仲が悪いとか?」
『ふん、我々が相対することなど滅多にないわっ!』
いやいやいや!
その雰囲気で仲が悪いってわかるわっ!
でも、上手くいけば、この状況を打破できるかもしれない。
自国の守護獣に会えればだけど。
表向きは承諾したと見せて、裏でクロウ王国の為にスワン王国を滅ぼす為に暗躍しますか。
誰がシオンに長年に渡り嫌がらせをして処刑した国を救ってやるものですか!
断固、お断りさせてもらうわ!
「それで、ここを出るといつの年代に戻るのですか?」
できれば婚姻前に戻れれば良いなぁ~
『起点となった時間にしか戻れぬのでな。お前が嫁いできた日になる』
くそっ、そううまくはいかないか。
『では、頼んだぞ』
だから知るかー!
眩い光の中、気づくと寝室にいた。
あ、結婚式が終わった後ね。
するとすぐに旦那様が入ってきた。
名前はコハク様だったよね?
「お前を愛する事はない。俺には愛する女性がいる。お前とは政略結婚だ。白い婚姻で十分だろう」
これも前回と同じセリフだね。
国同士の約束をなんだと思っているのか・・・
「かしこまりました。ただ一つ伺っても?」
「なんだ?手短に言え」
「コハク様の想い人は今後、側室にでもされるのでしょうか?」
!?
シオンの言葉に激怒した。
「ふざけるなっ!なぜ我が愛する者を貴様より下の側室にせねばならん!」
うん?
バカかな?
バカなんだろうな。
「それでは愛妾として囲うのですか?」
また激怒しそうだったのを手で制した。
「ならばどうするのですか?まさか、この私を殺して戦争を継続させるおつもりですか?」
お互いに疲弊していたとは言え、戦争はクロウ王国が少し優勢だった。
このまま戦争を続けていればクロウ王国も総力戦にはなったが勝てたはずだったのだ。
ただ国の傷が深くなり過ぎるために停戦に同意したというのに・・・
「そ、それは・・・」
何も考えていなかったのね。
前回もバカだから周りの者に諭されて、私を陥れようとしたのでしょう。
「コハク様、勘違いされないでください。私もこの婚姻が国同士の政略結婚と理解しております。私に協力して頂けるなら、貴方の愛する人との逢瀬の時間を作ってあげることもやぶさかではありません」
コハク様はゴクリッと喉を鳴らした。
「何が目的だ?」
「まず、国から連れて来た使用人をこのまま置かせて頂きます。ここに来る前に、こちらで全て用意するからクロウ王国からの使用人は全員帰れと言われましたので」
「それは──」
「先ほどのコハク様の言葉で、私が歓迎されていないとはっきりしました。申し訳ありませんが、毒殺なども考慮しなければなりませんので、我が国の使用人は置いてもらいます。飲めないなら、私はこのまま国に戻り戦争の続行ということでよろしいですか?」
!?
「ぐっ・・・わかった。認めよう」
「ありがとうございます」
流石に、自分の国が劣勢だったということは理解してくれていて助かったわ。
少なくとも数年は力を蓄える時間が欲しいものね?
今すぐ戦争を再開しては負ける確率のほうが高いもの。
「ご安心下さい。私のできる範囲でコハク様の公務もやらせて頂きますわ。実績はコハク様のものです」
「それは助かるが良いのか?」
「ええ、まぁ最低限、印鑑を押して何を裁決したかは読んでくださいね。質問されて答えられないなんて恥をかきますので」
「わかった」
シオンはニッコリ微笑んで最後に言った。
「良い契約をありがとうございます」
コハクは少し呆然としたが、我に帰ると部屋を出ていった。
『確か、旦那の恋人はリリス・モリガン男爵令嬢だったわね。爵位が低過ぎるために王妃にはなれない』
普通に考えればわかることなのに。
前回の記憶では、イチャイチャはしていたけれど、この子を王妃に押す声はなかった。
まぁ、誰も男爵令嬢に頭を下げたくはないわよね。
この子の幸運は敵国の姫である私が嫁いできたことで、国内の貴族の悪意が私に向いたので消されなかったのよね。
でも、この子もしたたかだったわ。
私に嫌がらせをされたなど、あることないこと言いふらしていたもの。
しばらくはバカ王子の信頼を得てから消しましょう。
今すぐやると疑われるものね。
最初に罰を与える者は決まっているから。
こうして1日目が終わった。
次の日からは忙しくなった。他国の使用人を城に入れることに反対する貴族が多くいたが、シオンは『王子妃宮』に住んでおり、国政を担う王城には住んでいないのだ。他国の姫に国の重要資料を見せたくないというもっともらしい言葉は、そのまま各自の貴族に返ってきた。
「私は王城の敷地内には住んでいますが、城の裏にある『王子妃宮』に住んでおります。どうやって機密書類を見れば良いのですか?」
これには貴族達も口を閉ざした。
表向きの夫であるコハク王太子の口添えもあり、王妃宮はクロウ王国の使用人が多く滞在することにより、ある意味『治外法権』の場所となったのだった。
まぁ、秘密裏に王太子の仕事が運ばれてくるのですが。
これは王太子に恩を売るだけじゃなく、この国の状況を知る上でも役立つと思ったからだ。
しかし、シオンが自国では慕われていて助かった。
ここにいる使用人は敵国なのに付いてきてくれた忠義に厚い人物たちだ。
引き抜きや脅迫があった場合は報告するよう厳命してあるし、しばらくは大丈夫だろう。
ここに、制服の違う2人のメイドがいた。
それはこのスワン王国の王宮から派遣されたメイドだ。
私達が何か企んでいないか監視の意味で送られて来た2人である。
名前が
エリーとマリーという双子のメイドだった。
前回の記憶を辿ると、表向きはシオンに友好的だったが、式典などの時間を誤った時間で教えて恥をかかせたり、最終的には国王の暗殺未遂の証拠を部屋に隠した犯人達である。
許さない。
私は表向きは友好的に接して、2人の信頼を得たように振る舞った。
そして──
「姫様、部屋の調度品が無くなっております」
「あら?クロエったら、もう結婚して王妃なのだから姫様はやめてね?」
「いえ、私にとってはいつまでも姫様でありますので」
クロエは幼い頃から私に仕えてくれているお姉さんのような存在の侍女である。
「もう、公式の場では注意してね?それで、無くなった物はなんなの?」
「自国からお持ちしました金の燭台でございます」
ああ、蝋燭の台ね。
金の細工が鮮やかな奴だったわね。
まぁ、これもワザと盗まさせたのよね。
この裏側が空洞になっていて、国との秘密のやり取りに使われているって、信頼したフリをして双子に教えたのよ。ちょっとした毒針を仕込んでね。
さて、どちらがかかったかな?
「クロエ、それについては考えがあります。少し他の者に言うのは待っていて欲しいの」
「何か考えがお有りなのですね。かしこまりました」
次の日、シオンは双子のメイドを呼び出した。
来たのは1人でマリーの方だった。
「大変申し訳ありません。エリーは体調不良で来ることができません」
「あら、そうなの?それは心配ね」
マリーは俯いて沈黙した。
シオンはテーブルに小さな小瓶を置いた。
「マリー?私は貴女の『こと』は信用しているのよ?」
マリーは顔を上げた。
「エリーが『死ぬ』のは仕方がないのだけれど・・・マリーが悲しむのは私も辛いのよ。だから特別に解毒剤をあげるわ」
!?
「シオン様!?知っていらしたのですか?」
「私は知らなかったわ。でも、使用人達が敵地ということもあり、念を入れて罠を仕込んでいたと報告を受けたのよ。そして、体調を崩したエリーの話が出れば盗んだのはエリーなんでしょう」
「も、申し訳ありません!」
マリーはガタガタと震えた。
「大丈夫よマリー。私はマリーの『こと』は信用しているから。ただ、教えて欲しいの。貴女は誰かに脅迫されたりしていない?もし困っているなら助けになるわよ?」
「ど、どうしてそこまでしてくれるのですか?私の姉妹がシオン様の物を盗んだというのに・・・」
「うふふ、だって貴女はこの国に来て初めて優しくしてくれたメイドですもの♪見知らぬ地で優しくされるのは、思いの外に嬉しい物なのよ?」
うわぁぁぁぁぁん!!!!!!!
マリーは泣き出して土下座した。
下級貴族のマリーとエリーは第二王子の命令で、シオン達を監視するためにやって来たこと。王太子を追い落として第二王子が王太子の座を狙っていることなどを吐いた。
シオンは優しくマリーを抱きしめて言った。
「大丈夫よ。私が貴女を守ってあげる。だから──」
シオンは二重スパイをするように『お願い』して、マリーはそれを承諾した。
ただし、信用しているのはあくまでマリーのみと何度も伝えた上でだ。
そしてマリーからエリーの寝ている部屋を聞いて、シオンはお忍びでやってきた。
マリーには別の部屋で休むよう言ってある。
ベッドでは息苦しそうに汗をかいて寝ているエリーがいた。
「・・・だれ?」
「私よ。エリー大丈夫?」
!?
「ああ、シオン様・・・申し訳ありません」
エリーは自分が盗みを働いたことがバレたことを察した。
「大丈夫よ。この解毒剤を飲みなさい。数日で良くなるから」
「ど、どうして・・?」
シオンは優しくエリーの汗を拭って言った。
「だってエリーのことが大切だと思っているからよ。敵国に嫁いでからあなた『だけ』は私に優しくしてくれたじゃない。嬉しかったのよ。だから貴女が盗みを働くなんて思えないの。きっと誰かに脅されてやったのでしょう?」
「あ、あああ、シオン様、申し訳ありません。申し訳ありません・・・」
「大丈夫、私が守ってあげるから。だから──」
・
・
・
・
・
・
・
・
・
こうして、シオンは2人にあなただけ信用しているからと恩を売り、決して裏切らない手駒を手に入れたのだった。
そして、王太子の仕事をやりつつ、スワン王国の内政や情勢を知りつつ、日々が過ぎていった。
その間に、コハク王太子と第二王子の王位継承権を賭けた争いが激化していった。
他国から嫁いだシオンがいる分、王太子側の方が優勢だったが、王太子であるコハク王子が、シオンを蔑ろにして、愛人と楽しく過ごしていることは周知の事実だったため、弱みとなり劣勢になっていった。
しかしこれは最初から第二王子が仕組んだハニートラップであった。
だから今まで下級貴族の恋人であるリリス・モリガン男爵令嬢は無事だったのだ。
無論、シオンにも最初は王位継承権争いは予想外の出来事だったが、それをうまく利用して王宮内の政争から、街の中でも派閥の対立を煽り、貴族同士の小競り合いが増えていった。
シオンは両方に情報を売ることによって、自分の身を守りつつ両陣営の影響力を高めていった。
「コハク様、第二王子派が勢いついております。このままでは危険でございます」
「わかっている!どうしてこちらの情報が向こうに筒抜けなんだっ!」
シオンは軽くため息を吐いて言った。
「まさか、まだ気付いてないのですか?」
「なんのことだ?」
「はぁ、あなたが寵愛をしている『恋人』は第二王子の送り込んだ美人局だったのですよ?」
「はっ?」
コハク王子はまったく予想していなかったふうに声が出た。
「貴様!言うに事欠いて巫山戯たことを言うな!」
「ならば確認すればよろしいでしょう?わざと嘘の情報を伝えて、その場所に第二王子派の私兵が来れば間違いないでしょう」
コハク様も薄々気付いていたのか、わかったと言って出て行った。
そして数日後───
「シオンの言う通りだった………」
顔色の悪いコハク様が小さく呟く様に言った。
「郊外に秘密裏に武器を保管していると伝えたらその夜に第二王子派の私兵達がやってきた」
「そうですか。それでどうなさるのですか?」
「どうするとは?」
シオンは深くため息を吐いた。
「すでに多くの重要情報を漏らしているのでしょう?コハク様が倒れれば私も危険なのです。今回の手口はもう使えないでしょうし劣勢の今、どうなさるおつもりですか?」
コハク王子は首を振ってわからないと項垂れた。
愛していた女性が敵対している相手の手の者だと知ってショックを受けているのだろう。
まったくバカである。
「はぁ~、なら私に手があります。聞いてくれますか?」
「あ、ああ……」
シオンは今まで漏らした情報から王子の私兵などほとんど使えないと判断して、母国であるクロウ王国から兵士を呼び込む話をした。
「無論、商人に扮して個別に入国させます。コハク様には、王室の商人だという証明書を発行して、入国しやすくして欲しいです。そして潜入した我が国の私兵を自由にお使い下さい。第二王子には知られていない戦力として必ず役立ちましょう」
!?
「そんな手が……しかし、良いのか?私は君にずっと失礼な態度を取ってきたのに……」
流石に後ろめたいのか私の顔色を窺ってきた。
「構いません。それに貴方が倒れれば次は私なのです。一蓮托生でしょう?」
「そうだな。………シオン、今まで申し訳なかった」
コハク王子は深く頭を下げてから出て行った。
まったくバカである。
本当にバカだよ。
それからしばらくして、状況は一変した。
秘密裏に潜入していた我が国の兵士は町中や王子妃宮に潜伏して時期を待ち、一斉蜂起したのだ。
町中で騒ぎを起こし、鎮圧に向かう為に手薄になった王城をシオンの王子妃宮から兵を出して一気に占領した。
謁見の間の玉座にはシオンが座っていた。
足元にはすでに事切れた国王と王妃が、そして第二王子とリリス男爵令嬢が『裸で』死んでいた。
「コハク様、私のプレゼントは気に入って貰えましたか?どうやら第二王子様とリリス男爵令嬢は愛し合っていた最中だったようで、同時に剣で貫いて差し上げましたわ♪」
コハク王子は目の前で死んでいる2人から目が離せず呆然と見つめていた。
「………全部、嘘だったのか?お前の国から秘密裏に兵士を呼び込んで第二王子派を切り崩すという話は?」
「あら?これは異なことを。ちゃんと潜入させた兵士はコハク様の元に集い、働かせたではありませんか?まぁ、千人潜入させてその内の50人ほどだけ与えましたが」
シオンは、うふふっと嗤いながら話した。
「これで邪魔なスワン王国を潰せました。守護獣のオオハク様も見てくださっているでしょうか?」
!?
「なぜ我が国の守護獣様の名前を知っている?それは直系の王族にしか伝えられていない口伝のなまえだぞ!?」
「あら?そうでしたの?実は、守護獣様に言われたのですよ。この国を救って欲しいと。どうやら私と守護獣様の波長が合うらしくて、直接お目にかかってお願いされたのです」
「そんなバカな話があるか!だったらなぜ我が国を滅ぼしたのだ!?」
縄で縛られている為に動く事ができないコハク様は吠える事しか出来ません。
「国とは何でしょうか?私はスワン王国を滅ぼしたい訳ではないのですよ?私が滅ぼしたいのはスワン王国の王族と貴族だけです。国はクロウ王国に併合され、より素晴らしい発展を遂げるでしょう!」
シオンは空を見ながら腕を広げて言った。
「守護獣様も国が、民が残るのであれば滅びる訳ではありません。きっと安心するでしょう。二国が1つとなり強大な国へと生まれ変わるのですから!」
コハク王子は全てに絶望して嗚咽を漏らすしか出来なかった。その後、我が国の兵士を招き入れた首謀者として公開処刑となった。
前回では私が受けた処刑をあえて代わりに受けてもらった。
その夜、夢にて守護獣様が現れた。
またよくわからない空間に、大きな漆黒のカラスが鎮座しており、その足元には純白のオオハク様が倒れていた。
「………クロウ王国の守護獣様でしょうか?」
『ああ、君には苦労を掛けて申し訳なかった』
カラスは頭を下げた。
「今まで現れなかったので国に戻らないとダメなのかと思ってました」
『すまぬ。クロウ王国では我が存在は忘れ去られてしまったようでな。『コイツ』より力がなく、顕現する事が出来なかったのだ』
なるほど。
第一王女であった私も知りませんでしたから、どこかで口伝が途絶えたのでしょう。
「お名前を伺っても?」
『私の名前は【カララ】だ。この度は君がスワン王国を打ち倒し併合したことで少し力が戻った為に現れる事ができた。本当に感謝する』
「いえ、勿体ないお言葉です」
『今の私には『きみ』に返せる物がない。いずれ何かプレゼントをしよう』
「ありがとうございます」
カララはジッとシオンを見てから答えた。
『君には感謝しているんだ。だからこれからは自分の為に行動していきなさい『君』は『きみ』なのだから』
!?
「ま、まさか私がシオンではないと気付いておられたのですか?」
『君のことは観察していたからね。すぐには気付かなかったけど、時間を遡ったとしても性格が変わり過ぎていたしね。それでも傷付き絶望したシオンの魂を守りながら立ち回った君は素晴らしい人物だと思うよ』
「いえ、大勢の人を殺したも同然です。その様な人物ではありませんよ」
『ふむ、辛かったらいつでも言うがよい。元の世界に返すこともできるし、シオンとして幸せな人生を送ることもできる。君は自由なのだから』
そう言うと目の前が明るくなってシオンは目を覚ました。
「うんっ………そう言われてもスワン王国の統治に、まだまだやることがいっぱいなのだから、もうしばらくはシオンとして民が路頭に迷わないよう頑張りますか」
シオンは身支度をする為に侍女を呼ぶ、呼び鈴を鳴らすのだった。
【END】
『余談』
どうでも良い話ですが、国の名前はたまたまネフリでハイキューを見ていて思い付きました。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
【あとがき】
最後までお読み頂きありがとうございます。
その他にも『多くの小説』を投稿しているので読んで頂けると嬉しいです。
【作者の作品のオススメ】
『最近投稿』で人気上昇中
階段から突き落とされたとよく言われますが、先手を打ちます!(バッドエンド)
『最近投稿』読者様からキツイコメントを頂いていますが、お気に入り数上昇中
婚約解消の代償。どうしてもう少し早く言ってくれなかったのですか?
訳ありヒロインは、前世が悪役令嬢だった。王妃教育を終了していた私は皆に認められる存在に。でも復讐はするわよ?
【連載版】ヒロインは元皇后様!?~あら?生まれ変わりましたわ?~
悪役令嬢は大好きな絵を描いていたら大変な事になった件について!
聖女は寿命を削って王子を救ったのに、もう用なしと追い出されて幸せを掴む!
復讐は合わせ鏡のように─『私』を殺してでも絶対に許しませんわ!
読者様の評価が高かった作品です。
お試し下さい。




