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ギルド

ダンジョンの出口を抜けると、夕方の空気が肌に触れた。地下のひんやりした空気とは違う。少し湿った、地上の風だ。


思わず大きく息を吸う。


「はあ……」


長く潜っていたせいか、妙に体が軽い。


だが、次の瞬間。


「……うわ」


思わず声が出た。


ダンジョン入口の広場には、人が溢れていた。


探索者。配信者。見物客。そして、屋台まで出ている。


串焼きの煙が上がり、どこからか音楽まで聞こえてくる。


まるで祭りみたいだった。


俺は少し目を細める。


「相変わらず凄いな……」


横で凛が小さく笑った。


「相変わらずの人だかりですね」


ダンジョンが発見されたのは、もう二十年以上前の話だ。


最初はただの未知の地下空洞だった。


だが探索が進み、モンスターとドロップアイテムの存在が明らかになると状況は一変した。


レア素材。スキルアイテム。装備品。


それらは既存の資源とは比較にならない価値を持っていた。


結果、各国が管理機関を作り、探索者という職業が生まれた。


今では

・探索者ギルド

・ダンジョン管理局

・配信プラットフォーム


といった仕組みまで整っている。


そしてダンジョンは、巨大な産業になった。


配信者は戦闘を中継し、視聴者はそれを見る。


スポンサーが付き、企業が装備を提供する。


探索者は人気職業の一つだ。


……危険だが。


俺はその光景を眺めて言う。


「詳しいな」


凛は肩をすくめた。


「これでも苦労してますからね」


配信機材。スポンサー交渉。編集。


ソロ配信者は意外と忙しいらしい。


俺は少し笑った。


「じゃあ、これからは俺が凛を支えるよ」


凛が止まった。


「……え?」


そう言うと、凛の顔がみるみる赤くなる。


「な、ななな、何言ってるんですか!」


「え?」


「そ、そういうのはですね!」


凛は慌てて視線を逸らす。


「もっと、段階を踏んでからというか……!」


「…相棒だろ…?」


俺は首を傾げる。


何の話だ。


凛は耳まで赤くして咳払いした。


「と、とにかく!」


強引に話を戻す。


「先にギルド行きましょう」


「登録しに行くんだよな」


「はい」


俺たちは人混みを抜けて歩き出す。


少し進むと、広い通りに出た。


石造りの建物が並ぶ。


その中でも一番大きい建物が目的地だ。


探索者ギルド。


凛が歩きながら言う。


「まあ、神谷さんも知ってると思いますけど」


「ギルド登録のメリットは多いです」


指を折りながら数える。


「まずアイテムの買取、ドロップ品は基本的にギルドが相場で買ってくれます」


「あと身元保証」


「探索者って事故死多いですから」


確かに大学でも、優秀な探索者は死なない事を第一に優先する、と教わったな。


「配信スポンサーも、ギルド登録者じゃないと付きません」


「あと」


少し声を落とす。


「スキルの守秘義務」


「……ああ」


スキルは個人の最大の武器だ。


ギルド登録をすると、能力の一部を提出する代わりに、情報保護が保証される。


俺は少し考える。


「なあ」


「はい?」


「俺のスキルの事なんだけどさ」


「他の人に知られたらヤバくない?」


凛は立ち止まった。


そして、深いため息をつく。


「……今更ですか」


「いや、だって」


凛は呆れた顔をする。


「神谷さん」


「はい」


「お人好しすぎます」


きっぱり言った。


「私以外の人とパーティ組んだら、絶対利用されますよ」


そして少しだけ目を細める。


「だから…」


「私以外と組んだらダメです」


…随分はっきり言う。


俺は笑った。


「独占欲強いな」


「違います」


凛はそっぽを向く。


「合理的判断です」


そうこうしているうちに、目的地が見えてきた。


巨大な石造りの建物。


入口の上には


[探索者ギルド]


と大きな看板が掲げられている。


中からは賑やかな声が聞こえてきた。


探索者。受付。装備商人。


様々な人が行き交っている。


俺はその建物を見上げた。


「……来たな」


凛も頷く。


「はい」


そして扉に手をかける。


「ここからが本当のスタートです」


俺も小さく笑った。


「だな」


そういって、探索者ギルドの扉を押し開けた。


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