モールド・エンド
時代も場所も定かでない。
大雨の降る日、川の堤防が水で膨れ、いまにも決壊しそうになっていた。
堤防は土でできており、ゆっくりと水が染み込み、崩壊の兆しを見せていた。
川のほとりには一軒の家があり、その隣では掘削作業が行われていた。
掘られた地面からは黄色く輝く宝石が掘り出されていた。
人々はそれを目的に働いていたが、ほどなくして堤防は崩れ、現場は混乱に包まれた。
そのとき、山の方から二体の化け物が現れた。
ぬっぺほふっぺのような形状に、キノコや粘菌がまとわりついた姿。
それらは作業員たちを襲い、吸収するように取り込んでいった。
逃げ場を求めた者たちは家へ逃げ込み、そこで再び殺された。
他の者は山へ逃げ、そこでさらに奇妙な光景を目にする。
山の斜面には宝石が散りばめられていた。
だが次の瞬間、山そのものが動き出した。
それは化け物たちの“親”であり、宝石はその体に生えている結晶だった。
彼らが掘っていた宝石は、実は星の生命体の一部だったのだ。
夢の中で、ふと気づいた。
この星の粘菌のような生命体は、互いに融合し、
外来の生命を吸収して“浄化”している。
それはまるで白血球が病原体を取り除くような働きだった。
この星にとって人間は“病気”だったのだ。
宝石を奪い、土を掘り返し、静かな体を刺激する存在。
星はその免疫として怪物を生み出し、
人間を排除した。
——もし何もしなければ、きっと何も起こらなかった。
この星の名は、モールド・エンド。
全身が糸状の繊維で構成された、脳のような星。
風が、菌糸が、水の流れが、その思考そのものだった




