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エピソード「五」 海岸の町、マレ(4)

異世界の暮らしにも慣れてきた巴世界。現実世界で、目を覚ます...


「巴、世界さん」


「はい。」


現実世界、日本の学校の教室で、俺は適当に返事する。

なにせ、今は異世界のことで頭がいっぱいだしな!



その後、俺は授業を適当に過ごしていた。その時


「なぁ、世界!同じ班同士、明後日は楽しもうな!」


「えっ?あ、あぁ。えと…何の話?」

びっくりした、急に話しかけるなよ…。輝かしい笑顔で、琉輝(るき)は俺に話しかけてくる。


「そりゃ、校外学習に決まってるだろ!いやー、この日が待ち遠しかったぜ!楽しもうな!」


校外学習?あぁ、そういえば明後日だったな。正直、校外学習よりも楽しいことを、俺は見つけちゃったけどな。あぁ、早く帰りたい…!




「ただいま。」


「世界、おかえり。今日はどうだった?」


ママはそう言い、俺のためにおやつのケーキを持ってくる。


「いつもどおりだよ。」


俺はリュックを置き、椅子に座り、フォークを取る。どんなに日常がつまらなくても、美味しいものを食べる瞬間は幸せなんだよな。


「そう?ならいいんだけど…。」


俺は、優しい太陽の光が差し込む部屋のベッドで、目を擦る。潮の匂いが、優しく嗅覚を刺激する。


「さてと、今日は何をしようかな…!」


俺はベッドから飛び起き、荷物を持ち、部屋を出る。



「うーん…今日は薬草採取の依頼を受けて、ゆっくりしとこうかな。」


そんな独り言をつぶやき、冒険者ギルドの掲示板から薬草採取の依頼紙を取る。その時、俺の右肩に軽い衝撃が来る。俺が振り返ると、そこには明るい赤色の髪を持つ、俺と同い年くらいの少年がいた。


「っと、すまないな。俺も依頼を受けようと思ったんだ。」


赤髪の少年は、掲示板からCランクのオーク討伐依頼の紙を取る。


「Cランクの依頼を受けるのか?オークとか、すごい強そうだけど。」


「あぁ、確かに強い。でも、効率よく強くなるためには高ランクの依頼をたくさん受けたほうがいいからな。」


そこで、俺は少年が背中に大剣を背負っているのに気づく。きっと、俺の何十倍も強いんだろうな…


「俺はラグニス。Cランクの冒険者だ。お前は?」


センター分けされた明るい赤髪が揺れ、ラグニスは俺に笑顔を見せる。


「俺は世界。Eランクの冒険者だ。よろしく。」


冒険者のランクは、「S←A←B←C←D←E←F」の順で昇進していく。俺は一昨日、FランクからEランクに昇進したばっかりなんだよな。


「Eランクってことは、最近冒険者になったのか?」

 

「あぁ。まぁ、ゆっくりがんばるよ。」


「そうか、応援してるぜ。あと、知ってるか?最近『七つの大罪』が近くの村を襲ったらしいぞ。」


七つの大罪?こっちに来てから初めて聞く名前だな。


「...もしかして、お前七つの大罪を知らないのか?」


ラグニスは、俺の申し訳なさそうな顔を見て、軽くため息をつく。


「かつて、ここククス王国含むイフィニス大陸を統治していた国があったんだ。『イフィニス王国』と言って、力を持ち平和な国だった。」


「イフィニス王国?」


「セカイが知らないのも無理はない。なにせ、200年前に滅んだ国だからな。」


「そんな国とその七つの大罪に、何の関係があるんだ?」


「それがな、イフィニス王国を滅ぼしたのは、七つの大罪なんだよ。」


なるほど、理解してきたぞ。あれ、でも...


「200年前の事件なのに、七つの大罪はまだ生きてるのか?」


「あぁ。あいつらは人より長生きする、『魔人』だ。だが、200年前と比べれば力は落ちているよ。それでも、とてつもなく強いらしいがな。」


なるほど。まぁ、過去に猛威を降るつてた系の奴らってことか。


「七つの大罪って事は、七人の集団なのか?」


「あぁ、今はそうだ。かつては大人数だったが、七つの大罪の内部でも分裂がおきて、今の七人以外は『ソロモン』という組織に入ったらしいぞ。ま、俺も詳しいことはよく知らないよ。」


ソロモン!俺が初めて異世界に来たとき、俺を殺してくれた奴が、確かソロモンに入ってるって言ってたな。やっぱ悪者か。


「っと、そろそろ俺は行くぜ。詳しく知りたいなら、ククス王国の中心地『プリズム』にある国立図書館に行くといい。」


ラグニスはそう言い、俺に背を向けて去る。この世界について、また知ることができた。ラグニスには感謝しかないな...



「セカイくん、こっちこっち!」


草木の匂いが香る、気持ちのよい風が、輝く緑の平原を揺らす。俺はあの後、いつもの平原でラエティと薬草採取に来ていた。


「ほら、ここに沢山ある!」 


「...ほんとだ。ラエティ、薬草を見つけるスキルでも持ってるのか?」

 

「ふふん、熟練の勘だよ。セカイくんも、いずれ慣れるよ!」


「だといいんだが...。」



その後、無事納品量の薬草を採取した俺は、そのままラエティと夕日の平原でゆっくりしていた。


「セカイくんは、なんだか不思議だね。一緒にいると、落ち着く。」


ラエティは俺のとなりに座りながら、そう言う。


「...明日は、いい星空が見えそう。ねぇ、セカイくん。明日、一緒にここで星空を見ない?ここ、よく空が見えるんだ。」


ラエティが、俺に少し気恥ずかしそうに微笑みかける。俺は少し、ドキリとする。


「あ、あぁ。良いよ。」


「やった!楽しみだなぁ...!」


言葉にできないけど、凄く良い気分だ。暖かい夕日、優しい風、草木の揺れる音、それと、長い元気な金髪が似合う少女が、俺の目の前にある。現実ではあり得なかった瞬間を、俺は今、味わっている。明日が楽しみだ。


じゅ、17日ぶり...

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