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エピソード「四」 海岸の町、マレ(4)

金髪の少女ラエティに手伝ってもらい、世界は無事薬草採取の依頼を完了する。その後、異世界で眠った世界は現実世界に戻ってくる…。


「巴、世界さん。」


「はい。」


また、退屈な日々が始まる。だが、俺の頭の中では異世界の事について思考を巡らせていた。


一昨日から始まった、「現実世界で眠ると異世界で目覚める」という性質。異世界で過ごしていると、急に強い眠気に襲われる現象…


ダメだ、2日間(実質一日)しか異世界に行っていないから、証拠が足りない。だが、一つだけ言えることがある。あの世界は、夢なんかじゃない。多分、パラレルワールドのようなものだ。


とにかく、また現実世界で寝て確かめるしか方法はない。



「ん…ここは…。」


俺が目を覚ますと、そこは異世界の宿の部屋だった。良かった、ちゃんと異世界に来れたのか。


とりあえず、冒険者ギルドの依頼を受けるか。どんな場所でも、資金がなければ生きることすらできないからな。


俺は、バッグと剣を持ち、部屋を出る。



「昨日は薬草採取の依頼を受けたが…。お、これで良いか。戦闘にも慣れておいた方がいい気がするし。」


俺は、冒険者ギルドの掲示板から、「スライム討伐」の依頼の紙を取り、ギルドの受付さんに渡す。


「スライム討伐依頼ですね!討伐の証拠として、スライムの魔核の収集もお願いしますね。」


「魔核?」


「あれ、知らないですか?魔核は、魔物の体を構成する為に必要な、魔力の塊です。手のひらサイズの球体なので、すぐに分かると思いますよ。」


「へぇ…つまり、スライムを倒して魔核を集めれば良いって事ですか?」


「はい、その通りです!」


ふむ、なるほどな。人間にも、魔核があるのだろうか…?



俺は、緑の平原に着く。昨日、薬草採取の為に来た平原もここだ。


昨日ラエティに教えてもらった事だと、この平原は「マレ平原」と言い、薬草や低級の魔物がいるらしい。そのため、駆け出し冒険者にはピッタリの場所だそうだ。


その時、俺の背中に軽い衝撃が走る。


「痛っ!」


俺が振り返ると、そこにはかの有名な、青くてプルプルしてて手足が無いアレがいた!


「うおぉ、スライムだ!」


スライムは再び俺に体当たりしようと、体を引く。すかさず、俺は剣を鞘から抜く。この剣、なんだがしっくりこないんだよな。


そして、スライムが俺の方に飛んでくる。俺はすかさず横に避け、剣を振り下ろす。


すると、スライムの体が真っ二つに切れて動かなくなる。それからすぐ、スライムの体は紫色の霧となって消えてしまった。


「コロンッ」


そして、地面には透き通った水色の魔核があった。どうやら、俺の初戦闘はもう終わりらしい。意外とあっけなかったが、俺はスライムの魔核を袋に入れながらこう思う。


「…やべー、スゲー楽しい!」


現実世界では味わえない、スリル!生と死をかける中、相手に剣を振り下ろす!この高揚感、異世界だけの特権だろう。


俺は、早まる心臓の鼓動を無視し、剣の柄を握り直す。そして、再びスライムを探しに行く…!



「はい、スライムの魔核、24個ですね。依頼の必要数は10個でしたが…追加報酬も、上乗せしておきますね。」


そう言い、受付さんは俺にククス金貨を渡す。依頼も受けたし…何より腹が減った。そりゃ、動けば腹が減るが。


俺は受付さんに感謝を伝え、ギルドの建物を出る。さてと、飲食店は…。


「あ、セカイくん!昨日ぶりだね。ギルドの依頼を受けたの?」


優しい声が、俺に話しかけてくる。


「ラエティ!いや、今依頼を終わらせたところだ。今からご飯でも食べようと思ってるんだ。」


「なら、おすすめのお店があるんだ!付いてきて!」


俺は、ラエティの後を追いかける。


「セカイくん、何の依頼を受けたの?」


「あぁ、スライム討伐の依頼だよ。剣は使った事ないから、凄く新鮮で楽しかったよ。」


「そうなの?お疲れ様!怪我とかしてない?大丈夫?」


ラエティは、心配そうに俺を見つめる。


「あぁ、大丈夫。すごく健康!」


「それなら良かった…。剣を使った事はないって、凄いね!どんなことでもすぐに慣れちゃう、セカイくんの適応力、羨ましいよ〜!」


俺は、ラエティのそのポジティブ精神が羨ましいがな。


「ここだよ!このお店グラタン、凄く美味しいんだよ。」


そう言い、年季が入っている店に入る。中は清潔感があり、店の手入れがしっかり行き届いていることがわかる。俺とラエティは席に着き、ラエティは何かを注文する。


しばらくして、濃厚な香りの、黄金に輝くグラタンが運ばれてくる。


「これが、このお店の名物、シーフードグラタン!マレの港で採れた、新鮮な材料を使ってるんだよ。」


ラエティが、そう説明する。確かに、匂いからして最高だもんな。俺は、スプーンでグラタンをすくい、一口食べる。


優しいソースの味が、海鮮の味を引き立ててくれていて…。


「美味っ!こんな美味しい料理、初めて食べたかも!」


俺は、食べる手を止めない。


「でしょ?私も、ずっと昔からこのグラタンを食べてるんだよ。」


「へぇ〜。家族と来てたのか?」


すると、ラエティが少し複雑な顔になる。


「ううん。私、両親がいないの。捨てられた私を、マレの町長さんが拾ってくれたんだ。」


「そうだったのか…。悪い、何も知らずに聞いて。」


「ううん、気にしないで!それでも、私はマレの町のみんなと出会えて、嬉しいから!それに、セカイくんとも出会えたから!」


凄いな…。物心ついた時から親がいないのに、諦めずに周りの皆を助けてあげるなんて…。俺だったら、すぐにでも絶望して、すべてを諦めるのに。



それから、一週間ほど経った。異世界の生活にはすっかり慣れ、当たり前になりつつあった。冒険者ギルドの依頼も沢山受け、資金も貯まってきている。


そんな異世界での生活が、楽しくてたまらなかった。なにより、ラエティと一緒にいる事が一番楽しかった。


そして、今日もつまらない現実で睡眠を迎え、異世界で目を覚ます。



「なぁ、ラエティ。この世界とは別の世界から、人が来ることとかあるのか?」


ラエティと薬草を採取しながら、問いかける。


「んー、私は知らないな。別の世界のことなんて、考えた事もないや。」


どうやら、異世界から来る事は一般的ではないようだな。なら、尚更なぜ俺がこの世界に来れるのかが、謎だな…。


「でも、もし別の世界から人が来たのなら、その人と友達になりたいな。それで、別の世界の事について教えて欲しい!」


「そうなのか?…俺もだ。」


俺は、薬草を採る手を止め、空を見上げる。ラエティには、俺について話しても良さそうだ。長くなりそうだし、明日話すか…。


投稿がめちゃくちゃ遅れた…。まぁ、いっか。

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