表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/11

エピソード「二」 海岸の町、マレ(1)

中学3年生である世界は、短剣に触れた夜、不思議な夢を見る。リアルだな、と思っていた矢先、世界は腹を剣で貫かれ、死んでしまう…。


「うわぁっ!?」


気づけば、俺は現実のベッドに横たわっていた。もちろん、腹に穴なんて空いてないし、吐血もしていない。


「夢、か…。」


夢にしては、妙にリアルだった。潮の匂い、海風の肌触り…そして、あいつに刺された痛み。


あぁ、クソ。今になってムカついてきたぞ。初対面の人の腹に、剣をぶっ刺すとか…。



「巴、世界さん。」

「はい。」


いつもと変わらない日常。

朝のホームルーム。担任に名前を呼ばれ、それに答える面倒な時間。


そして、授業。俺にとっては簡単な内容を、隣の奴は


「ムズすぎてハゲそう!」


などと言っている。なら、なんで俺はハゲてないんだよ。お前がバカなだけだろ、と思う。


そして、昼食を食べ、また授業を受ける。そうすれば、部活なども入ってないため、速攻で帰宅する。


最近は、どれだけ早く家に帰れるかが、楽しみになっている気がする。


「ただいまー。」


「世界、おかえり。今日は学校どうだった?」

「いつもと変わんない。てか、別に聞かなくてもいいじゃん。興味ないだろ?」


「世界が学校でイジメられてないか、心配なのよ。」


はぁ?俺がいじめられてる訳ないだろ。いじめてくる奴らがいたら、そいつらボコボコにしてやるよ。


とまぁ、これの繰り返し。最近は、この生活に何の《意味》があるか、わからなくなってきた。



「…マジか。」


確か、俺は自分の部屋のベッドで寝たはずだ。だけど、知らない宿屋のベッドで起きたのだ。なんで、またこの世界にいるんだ?


鏡を見る。銀髪、水色の目、イケメン…やっぱり、あの夢の世界だ。だが、この世界の俺は死んだはずじゃ…?


「あ、起きた?良かったわ。」


俺が驚き、振り返ると、そこには昨日俺を殺した長髪の赤髪の女がいた。


「大丈夫、もう殺さないわ。私はヴィネ。昨日は悪かったわ。ある人の借りを返すためだったの。」


信用できるか…!!


俺は、ベッドの近くにある剣を取り、構える。剣なんか触ったこともないが、ないよりかはマシだろう。


「私は、ボウヤの正体を知ってるわ。別の世界から来たのでしょう?」


別の世界?まぁ、夢だから別の世界とも言えるか…。って、夢なのに俺の事を知ってる?いや、よくある事か…(?)


「私は、別の世界から来た存在と仲良くなりたいと思ってるの。」


「信用できるわけないだろ!」


「でも、昨日の傷は私が治したわよ?」


俺は、自分の腹を見る。傷はすっかりなくなっているが、うっすらと傷跡が残っていて、温かさを感じる。でも、なら何で1回殺したんだよ…。


「ボウヤ、この世界にきたばっかりね?わからない事だらけで困っているでしょう。」


特にお前のせいでな…!


「まず、私達がいるこの街は『マレ』と呼ばれる街よ。さらに、マレはククス王国という国の中にあるわ。」


マレ?ククス王国?夢だとすると、妙に設定が凝ってるな。てか、この世界って本当に夢なのか?俺、本当に異世界転移してるのか?


「そして、この世界は剣と魔法の世界ね。人々は日々、魔物たちから自分の身を守るために戦っているわ。」


剣と魔法?魔物たち?…この世界は、本当に『異世界』なのか…。


これは、夢じゃない。もう一つの現実だ。そう思うのが、なぜかとても簡単で、受け入れられた。


それと同時に、俺の心の虚無感が満たされていく。


「とりあえず、ボウヤ。昨日のお詫びとして…私の力を少し、分けてあげるわ。」


ヴィネが、俺の胸に手を当てる。すると、なぜか胸が暖かくなる。


「…私は、ソロモンという組織の一員なの。私の魔力があれば、ボウヤをきっと助けてくれるはず。」


ヴィネの手が離れ、俺は一歩後ずさる。


「良い?ボウヤ、次死んだらもう生き返れないからね?覚えておいて。」


「あっ、おい!」


手を伸ばすが、ヴィネは姿を消す。



俺はとりあえず、行く当てもないので街に出ることにした。そもそも、この体はもともと俺とは違う人だったのか…?


そう考えながら歩いていると、冒険者ギルドと書かれた看板に目が入る。



俺は、ワクワクしながら冒険者ギルドに入っていく。中は意外と広く、受付に掲示板、休憩所と、典型的な構造だった。


「はじめまして、ご要件は何でしょうか?」


短い黒髪に、大きな瞳。可愛らしい女の子が、受付に来た俺に話しかける。


「えっと、初めてなんですけど…。」


「あっ、ギルドカードの登録ですか?ギルドカードは、所持者の身分証ともなる物で、所持者の詳細な力を見ることもできますよ。」


「はい、お願いします。」


しばらくして、ギルドカードが机に置かれる。


「では、ギルドカードに触れてください。」


魔力の検査とか、血を染み込ませるとかはないんだな…安心した。


すると、ギルドカードに触れた瞬間から、ギルドカードに文字が浮かび上がる。


「文字が勝手に…!」


「ギルドカードはそのように、触れるだけで自動で所持者の情報が記載されていくんです。」


へぇ…便利なもんだな。


「では、続いて冒険者の説明をしますね。冒険者ギルドでギルドカード登録をしたセカイさんは、これからは冒険者として活動してもらいます。変更したい場合は、それぞれ別のギルドで手続きをお願いします。」


「わかりました。あの…具体的に、冒険者は何をすれば良いんでしょうか?」


「はい、冒険者はあそこにある掲示板からランク別の依頼を受け、解決していくという職業です。依頼を受け続けることで冒険者ランクがあがり、より高報酬の依頼を受けられるようになりますよ。さっそく依頼を受けますか?」


これもテンプレだな。どうやら、俺が想像してる異世界と、同じものらしい。


「はい、早速受けようと思います。まぁ、要は依頼された事を受け続ける便利屋って事ですよね?」


「ふふっ、大体はそうですね。では、掲示板からどの依頼を受けるか選択し、受付に持ってきてください。」


俺は、掲示板まで移動する。薬草採取に、スライム退治。貴族の護衛に…神殿の調査。大変そうだが、ザ・異世界を感じられた。


俺はとりあえず、最低難易度であるFランクの薬草採取の紙を取る。異世界といったら、まずは薬草採取だよな…!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ