エピソード「十一」 不穏と赤髪、共に(3)
無人の村で突如現れた異常に大きい魔物。二人はこの魔物が事件の原因だと推測し、討伐を図る。
◯
「はぁぁっ!!」
ラグニスが大剣を振り上げ、敵に向かっている。
「…え、ちょ、いきなり突っ込んだらマズイんじゃ…?」
俺がそう呟いた瞬間、ラグニスは軽く数本の草鞭に弾き飛ばされる。そりゃそうだ。
「…なるほどな。」
吹き飛ばされたラグニスはうまく着地し、構えを取り直す。
「いや、何がなるほどなんだよ…。ラグニス、もしかして弱いのか?」
俺の額を汗が流れる。
「今のは作戦のうちだ。敵は、5本の草鞭を使ってくる!それを確認するために突っ込んだわけだ。」
ドヤ顔してるけど…
「…それで死んだら元も子もないだろ。」
「ぐっ!!ま、まぁそうだけど…。」
大剣使いなら、パリィとかできないのか…?
でも、相手は俺一人で倒せる敵じゃない。まだ武器にも慣れてないのに、ここで俺が戦ったらそれこそ無謀だ。だから…
「ラグニス、俺が敵の注意を引く。その隙に頼む!」
これが、最善案なはず…!
俺は短剣の柄をしっかりと握り、敵へ向かう。当然、草鞭が飛んでくる。
今の俺なら…避けられるはず!
俺は足を止め、ほぼ体を投げ出す勢いで思いっきり左に動かす。
「っ…!」
なんとか避けられた…でも、ギリギリだ。
「おらぁっ!!」
攻撃の後を狙い、ラグニスは大剣を草鞭に振り下ろす。
「ザシュッ!」
雑草の匂いがした後、1本の草の鞭は完全に動かなくなる。
「よし、この調子で…!」
喜ぶ暇もなく、別の草鞭が降りかかってくる。
「ぐぉぁ!?」
凄い勢いでラグニスが草鞭に押し潰される。
「ら、ラグニス!?」
草鞭の動きが速すぎる!かといって、俺の短剣で切れるとは思えない太さだ。どうする…
その時、ラグニスを押し潰した草鞭が黒煙をあげて燃え始める。
「セカイ、サポート頼む!」
ラグニスが担いでいる大剣の刃が、炎を纏っていた。
あれは…魔法?いや、考えてる暇はない!
「わかった!」
俺は短剣を握り直し、ラグニスに向かって振り下ろされる草鞭のうち、1本を短剣で受け止める。
「ぐっ…ファイア!」
ラグニスは降りかかる3本の草鞭を全てかわし、そのうち1本を炎を纏った大剣で切り落とす。
草鞭はまるでもがき苦しむように、炎に包まれて消滅した。
「す、すごい…。ラグニス、なんで最初からそれ使わなかったんだ?」
その間に、ラグニスは炎を纏ったままの大剣で俺が受け止めている草鞭も焼き切る。
「いろいろあるんだ。今はとりあえず倒すことに集中してくれ!」
ラグニスはそう言い、残りの草鞭に向かう。
なんか…隠してる?まぁいい。俺は、ガラ空きになった敵の本体に向かって、走り出す。
ラグニスが草鞭を受け止めてくれている今、俺が倒すしかない。
「ンギュォォ!!」
でかいウヅラカズは、口のような部分からピンク色の煙を出す。
だが、同時に敵の口の中に、いかにも弱点らしい核をみつける。
口を腕で覆いながら、手を熱くし、敵の口に向かって俺は飛び上がる。
「はぁぁっ!!」
重力と回転力のゴリ押しで短剣をいっきに切り込む!
「パリッ…!」
その瞬間、あたりに漂っていた煙や、敵の姿が消滅する。
「や、やったのか…。」
ひとつため息をつき、俺は振り返る。
そこで俺が見たのは、衝撃的な光景だった。
ベジタブル




