2話 俺、劣等感
宿に帰ると何やら騒がしい。宿の1階は50人ほど入れる大きな酒場になっている。
そこで皆2枚の紙を見るために集まっている。
「なにかあったのか?」
そして、よっと人の上から覗く。
そこにはそれぞれ別の記事の内容が書いており、1枚は大型の討伐依頼の成功、もう一枚は国1番の賞を受賞した事についてだった。
もっとよく見たいと思い、どこかで配布でもしているのかと思って見回したがどうやらしていないらしい。
そして見回していたところ人が少ないところに1人俺の友人ライトがいた。
「こりゃまたどう言う騒ぎなんだ?」
ライトが座っている向かいの椅子に腰をかけ聞いてみる。
「あぁ、なんでもあの[赤き青の猛獣]カレンがグリフォンの討伐に大きく貢献来たらしい。そして、もう一つは魔道具師スバルが国王から国民が取れる最高峰の最優秀賞を取ったんだと」
そう。この2人はこの国、いや大陸で注目されている天才だ。そして俺の村での唯一のクラスメイトだ。
「すごいな。もうこの2人の報告で耐えないな」
3人同じクラスで過ごしていたのにその差とは自分が情けないのとこの2人の凄さに驚きと尊敬を感じる。
しかし、俺は一度も他の人に同じ村出身だなんて言えるわけない。1番は信じてもらえるわけがない。
万年ビギナーと呼ばれている俺がこんな大陸の英雄と同じ出身なんてな。
「こんな英雄がこの大陸に2人もいる事が誇らしいな。ユウキは今日も依頼をしていたのか?」
ライトはあまりこのような話題を気にするような性格ではないらしい。
「あぁ、今日は薬草の採取をな。あまり金にはならないから、またすぐに依頼をしにいかないといけないがな」
「そうか。こんな話題になるほどの大型な依頼をできれば5年くらいは何もしなくても生きていけるからな」
「羨ましいとは...言えないな。俺が依頼を受けるのであればいくら命があっても足りないからな」
俺はどちらかと言うと働きたくはない。働かず生きていけるのであればそれが1番だと思っている。
そして、将来は自然豊かな場所で生活していきたいと思っている。
「じゃあ、俺は明日も早く仕込みがあるから寝るわ」
「あぁ、また明日」
ライトは街では有名なパン屋を営んでいるので朝は早い。
お互い部屋に戻った。俺は明日も依頼をこなしていこうかなと思う一方、今まで通り薬草採取の依頼ではなくもっと魔獣討伐などをしてみるのも一手なのかなと思う。
俺はでもカレンのような強さもないし、スバルのような頭の良さもない。
「はぁ、明日もまた同じ日々の繰り返しか」
少し劣等感。同じ日々の繰り返し。