1話 俺、依頼をこなしてみたりする。
ザッザッザッ。そんな音を立てながら山の中を歩いている。
今は薬草採取の依頼を受けたので山に来ているが暑いのなんので汗が止まらない。
あまり厚着はしていないが、山に登るにはという事で手袋などは一応付けてはいるもののあまり安心感はない。
そんな汗が染み込んだ手袋で薬草を取る。
この薬草は今やいろいろな商店でも販売されている薬に使用されていて、根からしっかり取るといつもよりも毛が生えた程度だが報酬が上がる。
そんなこんなで薬草を依頼の数だけ取り終え山を下りる。
その山から少し離れたところに大きな街があり、そこまでは舗装されていると言って良いのかわからないような道が続いており、街に近づくにつれ綺麗になっていく。
その道のりを進んでいくと街の入り口が見え、それは門のようになっており基本的には開いているが魔物などが多く押し寄せてきた際には閉じるらしい。
門をくぐるといろいろな商店があり武器を売っている店や食べ物を売っている店、そしてここが俺の基本的な行動する場所。掲示板前広場だ。
ここは街の真ん中少し入り口よりの場所にあり、大きな掲示板が真ん中に設置されていて、そこから自分がやりたい依頼を見つける。
初めての時はそこで突っ立ってたら怖い顔つきの人が教えてくれたっけな。
そして依頼の受注と終わった依頼を報告する場所があり、そこに依頼の紙を渡すと受注、依頼のものを渡すと依頼完了とともに報酬をもらう。
大体の目安でいくと、採取や掃除などの誰でもできるようなものが1番安く、次に知識が多少あり経験もある場合にできる依頼。そして最後は討伐依頼である。やはり命がかかっているとその分報酬も高くなる。
「依頼の報告をしたいんだけれども」
そう言って取った薬草を用意する。
「お名前と年齢をお願いします」
「ユウキ、20歳」
「はい、確かに確認いたしました。こちら報酬の1ゴールドです。依頼ご苦労様でした」
このような会話をして報酬を受け取る。
ちなみにこんな薬草を取る依頼でも1日3食で2日は生きていけるくらいの報酬はもらえる。
1ゴールドが10シルバーで大体1食、1〜2シルバーの間に収まるか、少し良いところであれば4〜5シルバーほど取られる。
しかし、この報酬で家を持つなんてまた夢の話。基本的には俺みたいなやつはどこかの宿に寝泊まりするのが結構あるパターンで、この街の中に家が少なく宿や商店が多いのはそれが理由だろう。
「宿が1泊1シルバーで、飯は3食食べるとして3シルバー、服がダメになってきたから買うのに6シルバー。こりゃあんまりだ」
生きていくのにギリギリな生活は慣れたが自分の手持ちがすっからかんなのも少し心許ない。
久しぶりにショットビッグを食べたいがこんな生活だったら食えるようになるには何年後になるやら...
10話までは3日に1話ペースで投稿していきます