BBQ帰りの夜道4
無機質な入店の音が鳴り響く。
遅い時間のせいか、客は誰もいなかった。
店内は蛍光灯の白い光に満たされているのに、どこか空虚で、静けさが余計に耳に刺さる。
店員も姿を見せず、奥にいるのか誰もいない。
とりあえず気分を落ち着かせるため、普段は買わないエナジードリンクを手に取り、レジへ向かう。
少しでも安心を得ようと、あえて明るい声で
「すみません」
と声をかける。
眠そうな顔で奥から出てきた店員が、ゆっくりと歩いてきた。
名札には「店長」と書かれている。
気だるげな対応だったが、人に会えたことで胸の奥の緊張が少し解けていく。
「人がいる」
その事実だけで、孤独に押し潰されそうだった心が支えられる。
会計を済ませ、コンビニの外へ出る。
夜風はまだ蒸し暑いが、蛍光灯の光から離れると再び闇が濃く迫ってくる。
手にしたエナジードリンクを一気に飲み干す。
冷たい液体が喉を通り、体の奥に広がる。
ブルッと体を震わせ、わずかな覚醒と安堵を感じる。
「……大丈夫だ、もう少しだ」
自分に言い聞かせながら車へ戻る。
エンジンをかけ、再びBluetoothを繋ぐ。
さっきまで勝手に変わっていたケルトの旋律を消し、プレイリストを改める。
洋楽とレゲエ、明るく、軽快なリズム。
気分をあげるために選んだその音楽が、車内を満たしていく。
高速道路の入口へ向かう。
街灯が増え、道幅も広がる。
暗い山道から解放される安心感が、少しずつ胸に広がる。
それでも、バックミラーを覗くたびに、さっきの赤い服の女の影が脳裏をよぎる。
「もう大丈夫だ」と思いたいのに、心の奥底ではまだ震えが残っていた。
やがて料金所の光が見えた。
人工的な明かりが、夜の闇を切り裂く。
その瞬間、ようやく「人の世界」に戻ってきたような感覚が胸に広がった。




