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BBQ帰りの夜道3

車を走らせながら、まだ帰り道の半分も超えていない。

暗い山道と川沿いの道は続き、街灯はほとんどない。

怖さのあまり震えが止まらず、ハンドルがわずかに揺れる。

車内ではBluetoothで繋いだ音楽が流れていた。

さっきまで落ち着いたジャズが流れていたはずなのに、いつの間にかケルト調の旋律に変わっていた。

笛の音が夜の闇に溶け、まるで誰かが後部座席で静かに口笛を吹いているようにも聞こえる。

「……なんでだ?」

プレイリストを変えた覚えはない。

だが、信号の少ない山道では停める場所もなく、ただ走り続けるしかない。

音楽を変えたいのに、操作できない。

そのもどかしさが、余計に不安を煽る。

窓の外は真っ暗で、川の流れが時折ざわめきを強める。

バックミラーを覗くたびに、さっきの電話ボックスの赤い服の女がまだ立っているような錯覚がよぎる。

視線を合わせることができず、ただ前を見て走るしかない。

「もう少しでコンビニがあるはずだ……」

そう自分に言い聞かせる。

人に会えば落ち着ける。

明るい店内に入れば、この震えも止まるはずだ。

しかし、コンビニまでの距離がやけに長く感じられる。

山道は曲がりくねり、田舎道はひたすら暗い。

街灯の下を通るたびに、車の影が伸びて揺れ、まるで誰かが並んで走っているように見える。

「……早く、着いてくれ」

心の中でそう繰り返す。

だが、ケルトの旋律は途切れず、笛の音が車内を満たしている。

その音は、夜の闇をさらに濃く沈めていく。

やがて、遠くにぼんやりとした光が見えた。

コンビニの看板だ。

緑と赤の光が闇の中に浮かび上がり、まるで救いの灯のように見える。


「……あった」


胸の奥から安堵の声が漏れる。

ハンドルを握る手に力を込め、アクセルを踏み込む。

駐車場の白いラインが近づくにつれ、震えは少しずつ収まっていった。

車を停め、エンジンを切る。

音楽も途切れ、静けさが戻る。

だが、コンビニの明かりに照らされたガラス戸を見た瞬間、店内には人影が見えなかった。

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