表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
88/158

夜の神社1

この話は、よくモテる優男の友人から聞いた話です。

朝から久しぶりに女友達と遊ぶ約束をしていた。駅前で待ち合わせると、彼女は少し弾んだ声で笑った。

「今日はいっぱい回ろうね、服も見たいし雑貨も見たい」

「いいね、久しぶりだし。じゃあまずは商店街から行く?」

「うん、あそこの雑貨屋さん見たいんだ」

商店街は休日らしく人通りが多く、店先からは呼び込みの声や音楽が響いていた。彼女は小物を手に取っては目を輝かせる。

「このマグカップかわいくない?」

「確かに。でも君、もう家にマグカップ何個あるの?」

「えー、でもこれは色が違うから!」

「また増えるなぁ」

服屋でも彼女がワンピースを手にして聞いてくる。

「このワンピースどう?」

「似合うと思うけど値段見た?」

「見ないで選ぶのが楽しいんだよ」

荷物が増えていくにつれて、二人とも少し疲れを感じ始める。

「歩きすぎて足が疲れたね」

「ほんと。甘いもの食べたい」

「じゃあケーキセット頼もうか」

「やった!」

近くのカフェに入り、ケーキを分け合いながら昼間の買い物の話で盛り上がった。店内の落ち着いた照明に包まれ、時間がゆっくり流れていくようだった。

夕方になり、街のレストランで夕飯を済ませることにした。料理を待つ間も会話は途切れない。

「今日は歩き回ったからお腹すいたね」

「ほんと。何食べる?」

「パスタがいいな」

「じゃあイタリアン行こう」

料理が運ばれてくると、二人は自然に笑顔になった。食事をしながらも昼間の買い物の話題は続く。 「さっきのポーチ買わなくてよかったの?」

「えー、あれはちょっと派手すぎたかな」

「でも君なら似合うと思ったけど」

「それ褒めてる?」

「もちろん」

笑い声が絶えないまま、食事を終えて店を出る。夜の街は昼間とは違う顔を見せ、街灯の下に人影が伸びていた。車に乗り込み、帰路につこうとしたところで彼女がふと口を開いた。

「ねぇ、もう少しドライブしない?」

「え、帰るんじゃなかった?」

「せっかく久しぶりに遊んだんだし、まだ帰るのもったいないよ」

「まぁ、確かに。どこ行く?」

「○○神社、行ってみたいな」

「神社?夜に?」

「うん。昼間は何度か行ったけど、夜は行ったことなくて。雰囲気違うんだろうなって」

「そういえば俺もあまり行ったことないな……じゃあ行ってみるか」

軽い調子のまま車は神社へ向かって走り出した。けれど、街の灯りが少しずつ遠ざかるにつれて、胸の奥に小さなざわめきが生まれる。夜の神社という響きに、どこか背筋が冷えるような感覚があった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ