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とある地方での怖い体験 1

若い頃に聞いた話をまとめていますので少し違和感あるかもですがそれを片隅に入れて読んでいただければ幸いです

これは、とある雪国に、スノーボードと観光に行った先で聞いて、体験したお話です。

北国の冬。しんしんと雪が静かに降り積もる夜だった。

地元のお土産物屋の女将さんに教えてもらった、観光客はまず来ないという隠れた名店――その居酒屋の暖簾をくぐる。

中は思いのほか賑やかで、常連らしき人々が楽しそうに酒を酌み交わしていた。

木のカウンターに通されると、見慣れない顔の俺に気づいたのか、隣の席の男が声をかけてくれる。

「おや、初顔だな。観光かい?」

俺は少し照れながら答えた。

「ええ。お土産物屋さんで、この店が美味しいって教えてもらったんです」

すると、別の席からも声が飛んできた。

「おお、女将さんに紹介されたなら間違いないな!ここは刺身も鍋も旨いぞ」

「観光で来たなら、雪道は気をつけな。昼間でも滑るからな」

笑いながら忠告してくれる人もいれば、

「この町は寒いけど、人はあったかいだろ?」と冗談めかして言う人もいる。

俺は思わず頷いた。

「はい、皆さん本当に親切で……。雪国ってもっと閉ざされた雰囲気かと思ってました」

「閉ざされてるのは外の景色だけさ。中に入れば、こうして酒と人で温まるんだ」

そう言って、隣の男は徳利を俺の前に差し出した。

「せっかくだ、地酒を一杯どうだ?観光客にはちょっと強いかもしれんが、身体がすぐにぽかぽかするぞ」

俺は礼を言って盃を受け取り、口に含む。

舌に広がる濃い旨味と、喉を通る熱さに思わず顔をしかめると、周囲から笑い声が上がった。

「ははは、いい顔だ!それがこの町の冬の味だよ」

「慣れるとやみつきになるんだ。まあ、慣れる前に雪が解けちまうかもしれんがな」

そんな他愛ないやり取りが続き、居酒屋の空気はますます温かく感じられた。

だが…なんだろうか…その温もりの中で、ふとした沈黙が訪れる。

まるで“外から来た者”にしか語られない何かが、これから始まるかのように。

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