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夏の夜景撮影での出来事 2

展望台に着いた時、駐車場にはすでに一台の車が停まっていた。車のそばには若いカップルがいて、夜景を背に肩を寄せ合いながら笑い声を交わしている。夏の夜の湿った空気に混じって、その声がやけに軽やかに響いていた。

俺は少し離れた場所に車を停め、三脚とカメラを取り出す。展望台の端へ歩き、機材を組み立てていく。レンズを装着し、カメラの設定を確認すると、前の週に昼間の風景を撮影したままの数値が残っていた。ISOも絞りも昼間用で、夜景にはまるで合わない。液晶画面を覗き込みながら、ひとつひとつ設定を調整していく。

その様子をちらりと見ていたカップルが、互いに目を合わせて小声で話すのが耳に届いた。

「人、来ちゃったね…」

「うん、仕方ない。行こうか」

彼らは少し気まずそうに笑い合い、手を繋いで車へ戻っていった。エンジン音が夜気を震わせ、ライトが闇を切り裂く。車が坂を下っていくのを見届けると、展望台には俺ひとりだけが残った。

辺りは暗闇に包まれている。月明かりがわずかに差し込み、展望台の床を淡く照らしているが、それでも心細さを拭えない。カメラの液晶画面だけが俺の顔を照らし、人工的な光が孤独を際立たせる。

深呼吸をして、とりあえず試し撮りを始める。シャッターを切る音が、夜の静けさに不釣り合いなほど大きく響いた。

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