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夏の夜景撮影での出来事 1

うだるような暑さがまとわりつく夏の夜。寝返りを打っても、扇風機の風に身を晒しても、汗ばむ肌は落ち着かない。

次の日は休みだ。眠れないなら、いっそ夜景を撮りに行こう。

そう思い立ったのは、時計の針が22時を指した頃だった。

三脚と一眼レフ、そして冷えを保つためのクーラーボックスを用意する。レンズを拭き、バッテリーを確認し、車のキーを手に取る。小さな冒険の始まりに胸が少し高鳴る。

途中のコンビニに立ち寄り、氷の袋と冷たい飲み物を買い、クーラーボックスに収める。店内の蛍光灯の白さがやけに眩しく、外に出ると夜の闇が一層濃く感じられた。

車を走らせると、街灯は次第に少なくなり、やがて真っ暗な山道へと入っていく。ヘッドライトだけが頼りだ。左右から迫る木々の影が、光に照らされては揺れ、まるで何かが道を覗き込んでいるように見える。窓を開ければ、湿った夜気と虫の声が入り込み、遠くで何かが動いたような気配がする。

舗装はされているが、ところどころにひび割れや落ち葉が積もり、タイヤが踏みしめる音がやけに大きく響く。ラジオをつけても雑音ばかりで、結局消してしまう。車内は静まり返り、エンジン音と自分の呼吸だけが耳に残る。

展望台までの道のりは、地図で見れば2時間ほど。だが闇の中を走っていると、時間の感覚は曖昧になり、進んでいるのか、同じ場所をぐるぐる回っているのか分からなくなる。曲がり角を抜けるたびに、木々の間から何かが覗いているような錯覚が生まれる。

やがて、遠くにぼんやりとした光が見えた気がする。展望台の灯りだろうか、それとも…。

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