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初詣の帰り道で4

こちらが見ているのに気付いたのか、白い人影が、ぎこちなくも素早く顔をあげた。

その瞬間、目が合った気がした。

胸の奥が、ひゅっと縮む。

次の瞬間、 その人影の口元が、かすかに動いた。

声は聞こえない。

でも、確かに“何かを言った”。

その直後だった。

バッッ!!

白い腕が、信じられない速さでカナヅチを振り上げた。

そして、地面を蹴る音が響いた。

タッ!

追ってくる。

いや、“走ってくる”なんて生易しいものじゃない。

獲物に飛びかかるみたいな勢いで迫ってくる。

「っ……!」

捕まったら終わる。

そんな確信が、頭じゃなくて身体の奥から湧き上がった。

死にものぐるいでペダルを踏み込む。

チェーンが悲鳴を上げるようにシャコシャコと鳴る。

呼吸が荒くなる。

肺が焼ける。

足が震える。

でも止まれない。

後ろから、

タッタッタッタッタッ!

と、足音が迫ってくる。

速い。

異常なほど速い。

自転車の速度に合わせて、

いや、それ以上の勢いで距離を詰めてくる。

背中に、“追いつかれる”気配が張り付く。

カーブに差し掛かっても、スピードなんか落とせない。

タイヤが横滑りしそうになるのを必死でこらえながら曲がる。

その間も、足音は止まらない。

タッタッタッタッタッ!

近い。

すぐそこまで来ている。

風を切る音の向こうで、何かが荒く息をしている気配すらする。

怖くて、後ろなんか振り向けない。

振り向いた瞬間、そこに“顔”があったら終わりだ。

ただ前だけを見て、必死に、夜の道を走り抜けた。

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