相談の末に7
「もしもし、貴方からの電話と言うことは……また、厄介事に首を突っ込みましたね」
電話に出た瞬間、そう言われた。
「お世話になっております。実は……おっしゃる通りでして。友人の話を聞いたら、手に負えない感じになってまして……」
事情を一気に話す。
受話器の向こうで、宮司さんが深く、長いため息を吐いた。
「……仕方ないですね。すぐにあなたの車で、その友人をうちに連れてきなさい。いいですか、“今すぐ”ですよ。遅れたら、手がつけられなくなります」
その言葉に、背筋が冷えた。
「わかりました」
返事をした瞬間、電話はぷつりと切れた。
急がなあかん。
店に戻り、店員さんを捕まえる。
「すみません、友人がちょっと……運転させるのが心配な状態でして、今日一日、車を置かせてもらえませんか」
店員さんは驚いた顔をしたが、すぐに了承してくれた。
会計を済ませ、彼が待つテーブルへ向かう。
「すぐに出るぞ」
「えっ……?」
戸惑う声を無視して、俺は彼の手を引いた。
車に乗せ、鍵を閉める。
説明する暇なんてなかった。
エンジンをかけた瞬間、彼がいきなり身をよじった。
「ちょ、ちょっと……どこ行くん……? やめ……! やめて……!」
声が震えている。
嫌がるというより、“連れて行かれるのを本能で拒んでいる”ような動きだった。
「大丈夫や。すぐ終わる。黙って乗っとけ」
自分でも驚くほど強い声が出た。
彼はシートにしがみつきながら、必死に首を振る。
「いやや……いやや……! あかん……あかんて……!」
助手席のベルトが軋むほど暴れる。
それでも、止まれなかった。
宮司さんの
『今すぐですよ。遅れたら手がつけられなくなります』
が頭の奥で鳴り続けていた。
俺は前だけを見て、アクセルを踏み込んだ。
神社までの道が、やけに長く感じた。




