表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
365/370

相談の末に5

彼は、そこまで話したあと、おもむろにタバコを取り出し、一本口に運んだ。

しかし、その手は小さく震えていた。

気持ちを落ち着かせて、言いたくないことを話すかどうか、まだ迷っているようだった。

マッチを擦ろうとして、火がつかない。

指先がわずかに滑った。

それだけ動揺しているのだろう。

俺は、落ち着くのをもう一度待った。

ようやく火がつき、彼は深く吸い込んで、長く煙を吐いた。

その吐息に、覚悟とためらいが入り混じっていた。

吸い終わると、彼は意を決したようにこちらを見た。

目だけが、どこか別の場所を見ているようだった。

「……その夜中に、家へ帰ってきてな……」

しかし、決意も揺らぐのか、言葉が喉の奥で止まる。

「玄関……閉めた時や……」

喉から絞り出すような、かすれた小さな声だった。

「女の声で……『これで一緒だね』って……言われたんや……」

空気が一瞬だけ止まった。

「おい、お前、それから1ヶ月ずっとほってたんか」

あまりのことに、俺は焦って問い詰めてしまった。

彼は叱られた子供のように怯えた目でこちらを見ていた。

その目の奥に、“助けを求めたいのに言えなかった”時間の長さが滲んでいた。

「……すまん。お前なりに、なんとかしようとしてたんやな……」

彼は泣きそうな声で、「……うん……」と小さく答えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ