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相談の末に2

喫茶店の駐車場に着くと、まだ彼の車はなかった。

夕日が沈みかけていて、舗装の上に伸びた影がゆっくり形を変えている。

車を停めてエンジンを切ると、車内に残った熱気がじわりと肌にまとわりついた。

更衣室で急いで着替えたとき、汗が少し残っている気がして

拭き取りシートを取り出して首元を拭いた。

そのあと、ポケットに入れていた練り香水を指先で少し取ってつける。

今日は伽羅の香りだ。

落ち着くはずなのに、胸のざわつきは消えなかった。

フロントガラス越しに赤い光が差し込み、車内の影が濃くなる。

その影の端を切り裂くように、彼の車がゆっくりと駐車場へ入ってきた。

運転席の彼を見た瞬間、息が止まった。

半年ぶりのはずなのに、別人のようだった。

まず、目が違う。

焦点が合っていない。

眠気でも疲労でもなく、もっと深いところが削られたような“抜け落ちた”目だった。

目の下のクマは深く沈み、皮膚の色は土気色に近い。

頬はこけ、顎のラインが不自然に尖って見える。

髪は整えているはずなのに、ところどころ浮き上がっていて、指を通す余裕すらなかったのが分かる。

表情は……表情がなかった。

怒りでも困惑でもなく、感情そのものが薄く剥がれ落ちた後のような顔。

半年で人はここまで変わるのか、と喉が乾いた。

車から降りた彼は、声を張る余裕もない様子で言った。

「助かる……すまんな」

その声も、以前より少し低く、

喉の奥が擦り切れたような乾いた音が混じっていた。

「とりあえず、中でゆっくり話してくれ」

そう伝えて店内へ向かう。

ここはタバコの吸える喫茶店だった。

今の時代では珍しい。

扉を開けると、タバコの煙とコーヒーの香りが混ざり合っていた。

夕方のざわめきが低く響いている。

店員さんがこちらを見て、ほんの一瞬だけ表情を曇らせた。

「おふたりですか?……あちらの奥の窓側の席へどうぞ」

案内された席は、周りから少し死角になる場所だった。

彼のやつれた見た目が、店員にも“何か”を察させたのだろう。

席に着くと、彼は深く息を吐いた。

その仕草だけで、ただ事ではないと分かった。

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