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相談の末に1

ツクツクボウシが鳴き始めた、残暑の残る夕方だった。

湿った風が更衣室の窓から少しだけ入り込んで、汗の乾きかけた肌にまとわりつく。

着替えようとシャツを脱いだところで、珍しい相手から通知が来た。

半年ぶりだ。


『久しぶり。直近で時間取れる時ないかな?

 ちょっと困ってて』


画面を見た瞬間、胸の奥がざらついた。

普段ほとんど連絡を寄越さないやつだ。

『どうした。金ならないぞ』

軽い冗談のつもりで返したのに、送信して数秒で既読がついた。

『いや、話を聞いてほしい。

 なんなら少し力を借りたい』

冗談の入る余地がない。

文字の温度が低い。

何かが切迫しているのが分かった。

予定を確認する。

今日のこの後なら空いている。

『今日の今からなら行ける』

送ると、またすぐ返ってきた。

『助かる。

 待ち合わせ場所はここでいいか?』

位置情報が共有される。

会社から車で数分の喫茶店だった。

『すぐ向かう』

そう返して、急いで着替えを済ませる。

同僚に「そんな急いでデートか」と笑われ、

「いや、友達が困ってるみたいで」と答えると、

つまらんな、と肩をすくめながら「気をつけていけよ」と言われた。

「ありがとう。お疲れ様」

そう返して更衣室を出る。

外に出ると、沈みかけの夕日が街を赤く染めていた。

建物の影が長く伸びて、道路の端に重なり合っている。

昼の熱気がまだ残っているのに、どこか冷たい気配が混じっていた。

喫茶店へ向かう車の中で、胸のざわつきだけが、じわじわと大きくなっていった。

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