カラオケでの相談1
オタク友達からメッセージが来た。
「よう、暇ならカラオケ行かないか?」
久しぶりに声を出すのも悪くないし、最近はカラオケもご無沙汰だった。
たまにはいいか、と思って「いいよ」と返す。
すぐに返事が来た。
「じゃあ今日の昼13時に、お前ん家の近くのカラオケ屋に集合な」
「おう、了解」
出不精な彼がわざわざこっちまで来るのは珍しい。
そう思いながら「予約は?」と追加で送ると、
「実はもうしてるあるよ」
「えらい準備ええな」
「もちろん、俺は出来る男やからな」
そんなやり取りをしつつ、「じゃあ昼からね」と締めた。
昼飯には少し早いが、早めに食べておくか。
そう思って冷蔵庫を開ける。
ベーコン、ピーマン、そして昨日の夜に使った玉ねぎが半分。
パスタもある。
「ナポリタンでも作るか」
独り言を呟きながら、まな板を出す。
まず玉ねぎを取り出し、薄くスライスする。
包丁が入るたびに、シャリッとした軽い音が響く。
半玉でも十分な量だ。
次にピーマン。
ヘタを落として縦に割り、種を指でまとめて取り除く。
青い香りがふわっと立ち上がる。
細めの輪切りにしていくと、緑の断面がまな板に並んでいく。
ベーコンは短冊に切る。
脂身の白と赤身のピンクがきれいで、切るたびに包丁に少しだけ脂がつく。
フライパンを火にかけ、油を少しだけ落とす。
温まったところでベーコンを入れると、じゅわっと音がして、脂が溶け出していく。
その香りが部屋に広がると、なんだか気分が上がる。
玉ねぎを加えると、ベーコンの脂を吸って透明感が出てくる。
木べらでゆっくり混ぜると、甘い香りがふわりと立ち上がる。
ピーマンを入れると、緑の色が一気に鮮やかになる。
火が通りすぎないように、軽く炒めるだけにしておく。
鍋に水を張り、塩をひとつまみ。
火をつけると、底の方で小さな泡が立ち始める。
パスタを茹でる準備をしながら、フライパンの具材を弱火にして味を馴染ませる。
ケチャップをたっぷり入れると、甘酸っぱい香りが一気に広がる。
ベーコンの脂と混ざって、赤いソースがゆっくりと濃くなっていく。
鍋がぐらぐらと沸き始めたので、パスタを投入する。
湯の中でふわっと広がり、少しずつ柔らかくなっていく。
フライパンのソースを木べらで混ぜながら、
「昼からカラオケか…久しぶりやな」
と小さく呟く。
部屋には、炒めた野菜とベーコンの香り、ケチャップの甘さ、茹で上がるパスタの湯気。
なんでもないけれど、なんだかちょっといい時間だった。




