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俯瞰撮影で3

鳥居の前に立つと、山の空気がひとつ深く落ち着いたように感じた。

軽く頭を下げ、結界をまたぐように境内へ足を踏み入れる。

踏みしめた砂利が小さく鳴り、

その音が境内の静けさに吸い込まれていく。

手水場へ向かうと、石の縁に落ちる水音が一定のリズムで響き、その澄んだ音が耳の奥まで染み込んだ。

柄杓を取り、手を清める。

冷たい水が指先から手首へ流れ、

その温度がゆっくりと身体の奥へ広がっていく。

口をすすぐと、山の水らしい柔らかい味が舌に残った。

本堂の前に立ち、手を合わせる。

その瞬間、ふと先ほどの老夫婦の姿が頭をよぎる。

この時期に登山とは珍しいな、と軽く思う。

ただそれだけのことなのに、山の朝に触れたせいか、妙に印象に残っていた。

境内に点在する小さな社をひとつずつ参拝し、入口の鳥居へ戻る。

山の風が少し強く吹き抜け、木々の影がゆっくり揺れた。

カメラバッグを開け、カメラを取り出す。

設定を整えながらファインダーを覗き、街を見下ろすようにシャッターを切る。

一枚目から驚くほど綺麗に撮れた。

光の入り方、街並みの整った形、遠くに見える海の青と、空の淡い色、その境目に浮かぶ雲の形まで、全部がちょうどいいバランスで写っている。

「うん、今日はいいな」

思わず声に出る。

振り返り、鳥居と社を収めるように何枚か撮る。

誰もいない境内は静かで、シャッターの音だけが軽く響いた。

撮りたいものを撮りきった満足感と、山の空気に触れた心地よさが混ざり合い、足取りは自然と軽くなる。

珍しく誰もいなかったこともあって、今日は本当に撮りやすかった。

そんな小さな幸運にウキウキしながら、ゆっくりと帰路についた。

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