表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
336/370

通勤で視えたもの3

それからというもの、毎日帰りのバスに乗ると、気が付けば神社の方へ視線が吸い寄せられるようになった。

見ないようにしようと意識しても、窓に映る自分の顔が、勝手にそちらへ向いていく。

そして、必ずいる。

あの白い巫女服に赤い袴の女性が、参道の中央に立っている。

最初は本殿に向かって、まっすぐ立っているだけだった。

ただの影のように見えた日もあった。

けれど、日が経つにつれて、その“立ち方”が変わっていくのが分かった。

最初に変わったのは首だった。

ほんのわずか、気のせいと言い張れる程度の角度で、こちらへ傾いていた。

数日後には、その傾きがはっきりと分かるようになった。

暗闇の中で、白い衣がわずかにこちら側へ寄って見える。

体はまだ本殿の方を向いているのに、首だけが不自然な角度でこちらへ向いている。

そして最近は、

体そのものが、ゆっくりと、こちらへ捻られているように見える。

まるで、毎日ほんの少しずつ、時間をかけて、こちらを振り向こうとしているように。

バスが通り過ぎる一瞬の出来事なのに、

その“変化”だけは妙に鮮明に分かる。

昨日よりも、今日の方が、確実にこちらへ向いている。

その角度が、もう“気のせい”では済まないところまで来ている。

バスの窓越しに見えるその姿は、暗闇の中で浮かび上がるように白く、こちらへ向かおうとするその捻れが、どうしようもなく目に焼き付いて離れなかった。

胸の奥が、じわりと冷たくなる。

毎日、確実に近づいてくる“何か”を見ているような気がした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ