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史跡めぐりにて7

「落ち着け」

そう言って、友人の肩に軽く手を置いた。

勢いよく身を乗り出していた友人は、はっとしたように瞬きをする。

「時間見てみろ。そろそろ待ち合わせの時間だろ?」

友人は慌ててスマホを取り出し、画面を確認した。

その顔が一気に青ざめる。

「あっ……ほんまや」

「ほら。あいつ待たせるとブチ切れられるしな。

歴史好きなあいつが居た方が、確実な話ができるよ」

そう言うと、友人は唇を噛んで、深く息を吐いた。

「……せやな。あいつおったら、なんか分かるかもしれん」

さっきまで掴みかかってきそうな勢いだったのが嘘みたいに、少し落ち着きを取り戻していく。

「とりあえず、ここで続き話すより、

三人揃ってからの方がええやろ」

友人は頷き、コーヒーを一気に飲み干した。

その動作に、まだ少しだけ手の震えが残っていた。

慌てて俺たちは居酒屋の前へ向かった。

角を曲がったところで、すでに一人、腕を組んで立っている姿が見える。

こちらに気づいた瞬間、彼は眉をひそめて開口一番、鋭い声を飛ばした。

「遅い」

待ち合わせまでには、まだ少し余裕がある。

だが、待つのが嫌いな彼らしい言い方だった。

「いやいや、まだ時間には早いやろ」

そう返すと、彼は鼻で笑いながら肩をすくめた。

「こちとら“オモロい話”って聞いてきてんだよ。

気になるだろうが」

そう言いながら、口元だけがニヤリと歪む。

その笑い方が、妙に子どもっぽくて、“本当は気になって仕方なかった”のが丸わかりだった。

友人はその顔を見るなり、

さっきまでの緊張が少しだけ緩んだように見えた。

「ほな、入ろか」

三人で暖簾をくぐると、

外の冷たい空気とは違う、

酒と出汁の混ざった温かい匂いがふわりと漂ってきた。

これから話される“何か”に向けて、

場の空気がゆっくりと整っていくような気がした。

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