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史跡めぐりにて3

駅前までの道は、何度も通った見慣れたルートだ。

信号のタイミングも、混む時間帯も、だいたい頭に入っている。

それなのに今日は、最初の角を曲がったあたりから妙に流れが悪かった。

事故渋滞に巻き込まれ、しばらくノロノロと進む。

ようやく抜けたと思ったら、今度は前の車がやけに遅い。

制限速度よりずっと下で、一定のリズムもなく、

ただ淡々と“遅い”だけの走り方だ。

早めに出てきて良かったな、と自分に言い聞かせるが

胸の奥に小さく溜まる苛立ちはどうにもならない。

今日はとことんついてないらしい。

駅前に着く頃には、駐車場がどこも満車だった。

ぐるぐると周辺を回りながら、

フロントガラス越しに見える「満」の文字が、

だんだんと嫌味に見えてくる。

時計を見るたび、約束の時間がじわじわ迫ってくる。

焦りが喉の奥に張りつくような感覚があった。

そんなとき、ちょうど一台の車がバックで出ていくのが見えた。

反射的にウインカーを出し、空いたスペースへ滑り込む。

いつもより少し割高な駐車場だ。

けれど、今日はもう選んでいる余裕はない。

エンジンを切ると、さっきまで流れていたケルト民謡の余韻が、車内に薄く漂っていた。

その静けさが、妙に耳に残る。

急いで喫茶店に向かう。

駅前の人混みを抜け、ガラス越しに店内を覗くと、友人はすでに席に座っていた。

入口のベルが鳴ると同時に、こちらに気づき、手をひらひらと振る。

「遅いぞ」

笑いながら手招きしてくる。

「いやいや、待ち合わせ15分前やがな。お前が早すぎるねん」

そう返すと、友人は肩をすくめてみせた。

席に着き、とりあえずコーヒーを頼む。

話を聞く前に、まずは落ち着いた時間を作りたかった。

こういうときの雑談は、呼吸を整えるみたいなものだ。

「相変わらず唐突な誘い方やな。しかも“はよ来い”って珍しいこっちゃ」

そう言うと、友人はカップを両手で包みながら、

子どもみたいに目を輝かせた。

「いや、この話はな……ぜひお前の意見が聞きたいんや」

その言い方が、妙に真剣だった。

普段なら、面白かったことを勢いで喋り倒すタイプなのに、今日は“順番”を大事にしているような、そんな空気があった。

コーヒーが運ばれてきて、湯気がふわりと立ちのぼる。

友人は一口も飲まず、こちらをじっと見ていた。

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