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史跡めぐりにて2

「15時に駅前の喫茶店に来てくれ。

その前にコーヒーしっかり飲んで、頭冴えた状態で来てくれよ」

そんなメッセージが返ってきた。

普段寝ぼけてるみたいに言うなや、と返しつつ、

「了解」とだけ送る。

駅前ならバスで行く方が安い。

いつもなら迷わずそうするところだが、

なぜか今日は車で行った方がいい気がした。

理由はない。ただ、そう思った。

ブランチの食器を洗い、乾燥棚に置いてから顔を洗う。

鏡に映った自分は、寝不足のわりに妙にスッキリしていた。

頭を冴えさせてから来い、なんて珍しいことを言う。

失礼な物言いはいつものことだが、

よっぽど困っているのか、理解できないのか……

まあ、どっちにしろ“面白い話”には違いない。

怪談や怪奇譚を聞くのも、集めるのも好きな自分からすれば、これはなかなか美味しい状況だ。

時計を見ると、まだ少し時間がある。

コーヒーをもう一杯淹れようかと思いながら、

なんとなく落ち着かない気持ちで椅子に腰を下ろした。

結局、話が気になってコーヒーは入れずに、すぐ出かける支度を始めた。

上着を取り、軽く羽織り、鍵束をポケットに落とす。

家を出て、階段を降り、駐車場へ歩いていく。

車に乗り込み、キーを回すと、エンジンが快調な音を立てて目を覚ました。

しばらく暖気をしながら、シートに深く腰を沈める。

今日は少し変わった心持ちだ。

理由は分からないが、いつもより静かに落ち着いているような、

逆にどこかそわそわしているような、不思議な感覚だった。

そんな気分に合わせて、ケルト民謡のプレイリストを選ぶ。

柔らかい笛の音がスピーカーから流れ出し、

車内にゆっくりと広がっていく。

アクセルを踏む前の、ほんの短い時間。

この静けさが、今日はやけに心地よかった。

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