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同窓会にて8

その日は、そのまま二次会で飲んで終わった。

先生を見送り、他の友人たちもそれぞれタクシーや電車で帰っていく。

店の前に残ったのは、俺と、さっきまで黙っていた友人だけだった。

友人が、ちょいちょいと手招きをする。

「どうした? 送って欲しいのか?」

そう聞くと、友人は首を横に振り、少し声を落として言った。

「いや……ちょっと相談あるねん」

ああ、こいつは昔からそうだった。

誰かに相談する時は、必ず一対一。

大勢の前では絶対に言わない。

変わらんな、と心の中で思いながら、

「車乗れよ」と鍵を取り出した。

少し遠回りしながら、ゆっくり話を聞こうと思った。

エンジンをかけ、静かに駐車場を出る。

街灯の光がフロントガラスを流れていく中、

友人はしばらく黙っていた。

何か言おうとして、言葉を選んでいるような沈黙だった。

やがて、ぽつりと口を開く。

「実はな……

 あいつ、行方知れずになる前に離婚しちまってよ……」

その声は、さっきまでの飲み会の明るさとはまったく違っていた。

「めっちゃ落ち込んでたんだよ」

信号待ちで車が止まる。

友人は窓の外を見たまま続けた。

「んでな……飲みに連れて行ってたら、

 あの店によく行くようになって……

 なんか、明るくなってきたからさ。

 安心してたんだよ」

その“安心してた”という言葉が、

妙に胸に引っかかった。

友人の声にはどこか自分を責めているようにも聞こえた。

車内には、エアコンの風の音と、

道路の低い唸りだけが流れていた。

「……でもな」

友人はフロントガラスの向こうを見たまま、

ぽつりと続けた。

「あいつ、急に“夜の廃墟に行く”って言い出してさ。

 なんか、写真撮りたいもんがあるって……

 その時は、まあ趣味やしって思ってたんだけどよ」

信号が青に変わる。

俺はゆっくりアクセルを踏んだ。

「それからなんだよ。

 連絡つかんようになったの」

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