同窓会にて6
ちょうどその時、店の女の子がコーラを持ってきてくれた。
「△○さん、久しぶりやん。最近どう?」
そう聞かれ、「元気やで」と返す。
すると女の子は続けて言った。
「□○さん、最近来てへんけど元気にしてる?」
その名前が出て、友人は少しだけ返事に迷った。
「分からへんねん。あいつ最近連絡取れんでな」
そう言うと、女の子は友人の隣に腰を下ろしながら思い出したように言った。
「そういえば最後に来た時、夜の廃墟写真がどうこう言うてたわねー」
その瞬間、隣の友人がわずかに言葉につまった。
グラスを持つ手が一瞬だけ止まる。
俺はその空気を軽く流すように言った。
「てか、俺この店来るん初めてやで。
あいつ、ここ来とったんやな」
そう言うと、友人は「ああ……せやな」と頷いた。
けれど、その頷き方はどこか歯切れが悪い。
夜の廃墟に写真を撮りに行く?
疑問が頭をかすめる。
たしかに夜の撮影で廃墟に行くこともある。
星を絡めたり、光を使ったり、そういう撮り方もある。
けれど、機材が大変だ。
三脚、レリーズ、ライト、予備バッテリー。
荷物はどうしても多くなる。
しかも隣県のあの廃墟は山の中だ。
舗装もされていない細い道を、草をかき分けながら登っていくような場所。
カメラ片手に気軽に行けるようなところじゃない。
ましてや、一人で行くにはかなりハードだ。
俺はコーラのグラスを指で軽く回しながら、
その事実をゆっくり噛みしめた。
店内のざわめきは変わらないのに、胸の奥だけ、ほんの少しだけ空気が変わった気がした。




