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同窓会にて5

スナックの扉を開けると、

カラオケの音と、グラスの触れ合う音が混ざった独特の空気が流れてきた。

照明は少し暗めで、壁に飾られた古いポスターが、

どこか昭和の匂いを残している。

「いらっしゃいませー

綺麗なママさんが笑顔で迎えてくれる。

人数を伝えると、

「ちょうど空いたところあるわ」

と奥のボックス席へ案内された。

運が良かった。

週末の夜にしては、かなり混んでいる。

席に着くと、友人のひとりが慣れた様子で言う。

「俺のボトル、持ってきてー」

どうやら行きつけらしい。

ママさんも「あいよ」と笑って返す。

俺はコーラを頼んだ。

氷の入ったグラスがテーブルに置かれ、

炭酸の弾ける音が小さく聞こえる。

「お前、ほんまに飲まんようになったんやな」

隣の友人が言う。

「まあな。飲まんでも楽しい日はあるんやって気づいたわ」

そう返すと、

「珍しいこと言うなあ」

と笑いながら肩を叩かれた。

恩師も席に腰を下ろし、

「お前ら、ほんま変わらんなあ」

と嬉しそうに周りを見渡している。

カラオケのリモコンを誰かが手に取り、

「先生、歌ってや!」

と無茶ぶりをする。

「なんでやねん。お前らが歌えや」

と言いながらも、先生はまんざらでもなさそうに曲を探し始めた。

店内のざわめき、グラスの音、カラオケのイントロ、

友人たちの笑い声。

全部が混ざり合って、

十年前にはなかった“大人の夜”の空気が、

ゆっくりと広がっていく。

俺はコーラを一口飲みながら、

ふと天井の照明を見上げた。

ああ、こういう夜も悪くないな。

そんなことを思った。

隣に座った友人が、グラスを置きながら俺に話しかけてきた。

「お前、最近も写真撮りに行ってんか?

 風景とか、よう撮っとったやろ」

「ああ、まあな。時間ある時にちょこちょこやけど」

そう返すと、友人は少し身を乗り出してきた。

「廃墟とかも行くんか?」

急にそんな話題が出てきて、思わず笑ってしまう。

「昔はな。無断で入ったりもしてたけど、

 今はちゃんと許可取って入ってるで」

そう言うと、友人は「そっか」と頷いたあと、

少しだけ考え込むような顔になった。

「どしたん?」

そう聞くと、友人は声を落として言った。

「いや……俺らと仲良かったやつ、覚えてるやろ。

 あいつがな、隣県の廃墟に行ってから連絡取れんのよ」

その言葉に、胸の奥がわずかにざわつく。

「隣県の廃墟って……どこや?」

友人は、周りに聞こえんように少しだけ近づいてきて言った。

「○○って場所。

 お前、行ったことないか?」

その地名を聞いた瞬間、俺は思わず苦笑いした。

「いや、有名な心霊スポットやないか。

 あそこ、昔から噂あるやろ」

そう返すと、友人は「ああ、やっぱ知っとるか」と小さく頷いた。

店内のざわめきは変わらないのに、

その会話だけが妙に耳に残った。

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