同窓会にて2
気付けば同窓会まで、一瞬で日々は過ぎていった。
当日の夕方、クローゼットからラフなジャケットを取り出して袖を通す。
別にそこまで気張る必要もない。
ただ、少しだけ背筋が伸びる。
家を出て、駐車場へ向かう。
冬の名残りはまだあるけれど、
どこか空気が柔らかくなってきている。
春の気配が、ほんの少しだけ混ざっていた。
車に乗り込み、エンジンをかける。
低い振動が身体に伝わり、
いつもの日常が少しだけ遠ざかる気がした。
オーディオの画面をスクロールしながら、
青春時代によく聞いていた曲を選ぶ。
イントロが流れた瞬間、
十年前の景色がふっと胸の奥で揺れた。
酒はやめたので、今日は車で向かう。
その選択が、なんとなく今の自分を象徴しているように思えた。
会場には、集合時間の少し前に着いた。
入り口の前で、幹事が手を振っている。
「おぅ、久しぶり」
「なんや、車で来たんかいな? 飲まんの?」
矢継ぎ早に飛んでくる質問に、
懐かしさが一気に込み上げる。
「おぅ、久しぶり。酒はやめたねん。ついでにタバコもな」
「おいおい、人生の半分以上損してんな」
二人で笑い合う。
その笑い声が、十年前の空気と重なった。
「もう何人か来とるし、二階の宴会場やわ。
上がって適当に座っといてー」
そう言われ、階段へ向かう。
足音が木の段に軽く響く。
その音だけで、胸の奥が少しざわつく。
懐かしさなのか、緊張なのか、
それとも、ただの気のせいなのか。
階段を上がりながら、
十年前の自分に少しずつ近づいていくような感覚があった。




