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同窓会にて1

先日、高校の同窓会の案内が届いていた。

工業高校の時のクラスメイトからだ。

久しぶりに行ってみることにした。

前回の同窓会から、もう十年になる。

最近は仕事が忙しく、朝起きてから寝るまでが一瞬で過ぎていくような日々だったけれど、この知らせだけは妙に心が軽くなった。

高校時代の思い出は、

不思議と色褪せず心の中に残っている。

特に化学科の実習室の匂いは、

今でもふとした瞬間に蘇る。

薬品棚の奥に漂っていたツンとした匂い、

ビーカーを洗った後に残るアルコールの香り、

白衣に染みついた独特の空気。

あの頃は、毎日が同じようでいて、どこか自由だった。

封筒を机に置き、カレンダーをめくる。

同窓会は来月の土曜日。

予定は空いている。

久しぶりに、“行ってみたい”と思える予定ができた気がした。

その日の夜、

仕事帰りにコンビニへ寄った。

レジ横のホットスナックの匂いが、

なぜか高校の購買のパンの匂いを思い出させた。

あの頃、昼休みに友人たちと並んで買った、

焼きそばパンやコロッケパン。

「懐かしいな」

思わず小さく呟いてしまう。

家に帰り、夕飯を済ませてから、

クローゼットを開けた。

同窓会に着ていく服を考えるのは、少しだけ楽しい作業だった。

スーツにするか、

少しラフなジャケットにするか。

鏡の前で合わせながら、十年前の自分と今の自分を比べるような気持ちになる。

あの頃より落ち着いたけれど、

どこか変わっていない部分もある。

そんなことを思いながら、

ジャケットをハンガーにかけた。

そのままベッドに腰を下ろすと、

窓の外から冷たい風の音が聞こえた。

冬の終わりの匂いが、

部屋の中にほんの少しだけ入り込んでくる。

同窓会まで、あと少し。

懐かしい顔ぶれに会えると思うと、

胸の奥がじんわりと温かくなった。

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