友人?4
夕方、友人を迎えに行くため、車に乗り込む。
エンジンをかけると、ご機嫌なエンジン音が腹に響いた。
今日は何故かメタルの気分だった。
激しめのサウンドを流しながら、友人宅へ向かう。
家の前に着くと、
昨日とは反対に、こちらからメッセージを送った。
着いたでー
すぐに返事が来る。
降りるわー
メタルを一度止めて、別のプレイリストに切り替える。
お互い世代が近いので、青春時代に流行った曲をいくつか選んだ。
イントロだけで、当時の空気が少し蘇る。
玄関のドアが開き、友人が降りてきた。
「おまたー」
「おう、乗りー」
いつもの軽いやり取り。
けれど、どこか声の響きが浅い。
車が動き出してすぐ、何気なく言った。
「2日続けてなんて珍しいな?」
すると彼は、不思議そうな顔をして、
「えっ?」
と短く返した。
「昨日は電話で誘ってくれたやん。
蒸し鶏がそんなに食いたなったんか?」
そう言うと、友人は少し黙り込んだ。
ちょうどその時、
フロントガラス越しに夕日の光が差し込んだ。
赤というより、少し橙がかった色で、
車内の空気をゆっくり染めていく。
その光の中で、彼は首を傾げたまま、
ゆっくりスマホを取り出した。
履歴を確認している。
指が止まる。
眉がわずかに寄る。
何か言うかと思ったが、
彼は何も言わなかった。
そのまま中華料理屋へ向かう。
距離は近いのに、
車内の空気は妙に長く感じた。
店の駐車場に着くまで、
二人とも一言も喋らなかった。




