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近所の公園で5

「おっちゃん、お腹いっぱいになったし……公園行きたい」

甥っ子が、箸を置いて少し間を置いてから、

思い出したようにぽつりと言った。

さっきまで唐揚げに夢中だったのに、

今は落ち着いた顔でこちらを見上げている。

「ちょ、今みんなで食べてるとこやん」

妹が口を尖らせながら言う。

「そうですね、外も寒いですし……」

義理の弟が穏やかに続けるが、

甥っ子は別に拗ねるでもなく、

ただ静かにこちらを見ている。

大人ばかりの空間で、

ひとりだけ子供というのはやっぱり退屈なのだろう。

でも、騒ぐわけでもなく、

“行けるなら行きたい”という程度の余裕があった。

「かまへんよ」

そう言って、自分の皿に残っていたものを急いで口に運ぶ。

味わう余裕もなく飲み込むようにして食べ終えた。

甥っ子は「ほんま?」と少しだけ目を輝かせる。

飛び跳ねるほどではない、

でも嬉しさがじんわり滲むような表情だった。

「とりあえず上着と帽子な。寒いし」

そう声をかけると、甥っ子は素直に頷いて立ち上がる。

内心では、

(これで結婚しろ攻撃から逃げられる……)

と、正直ほっとしていた。

「助かるわー、ほんま。ありがと」

妹が気楽な調子で言う。

「すみません、お願いします」

義理の弟は丁寧に頭を下げる。

自分も上着を羽織り、鍵を手に取る。

玄関に向かいながら、父親に声をかけた。

「ちょっと甥っ子連れて、公園行ってくるわ」

「おう、気ぃつけてな。寒いで」

父親が湯呑みを置きながら言う。

家の中の熱気と笑い声を背に、

玄関の扉を開けると、

冬の冷たい空気が一気に頬を撫でた。

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