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骨董市のお茶碗2

雑踏の中、いろんな骨董品が並んでいた。

古着、模造刀、手鏡。

大きいものだと鏡台まで置かれていて、

どれも陽の光を受けているのに、

どこか影の色をまとって見えた。

人の声が重なっている。

子どもが走り抜ける音、

犬のリードが金具を鳴らす音、

テントの布が風に揺れて擦れる音。

それぞれははっきり聞こえるのに、

耳に届く前に少しだけ薄まって、

遠くの出来事みたいに感じた。

露店の間を歩くたび、

匂いも変わる。

古着の布の匂い、

金属の冷たい匂い、

木箱の乾いた匂い。

それらが風に混ざって流れてくる。

ふと、足が止まった。

棚の上に、古い置物がいくつも並んでいる。

動物の形をしたもの、

用途の分からない木片、

色の剥げた小さな箱。

どれも触れたら、

指先だけ時間がずれそうな気がした。

少し歩くと、

急に空気が変わった。

ざわつきはあるのに、

その一角だけ、

音が布越しに聞こえるような静けさがあった。

茶器が並んでいる露店だった。

急須、茶筅、茶杓、茶碗。

棚に整然と並んでいるのに、

その並び方が妙に“間”を空けていて、

ひとつひとつが、

そこだけ別の空気をまとっているように見えた。

風が吹いているはずなのに、

茶器の並ぶ棚の前だけ、

空気が動いていない。

人の声も、

ここに近づくと少しだけ遠のく。

その静けさの中で、

ひとつの茶碗だけ、

光を吸い込むみたいに沈んで見えた。

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