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夜の駐車場3

エレベーターで2階に降り、トイレへ向かった。

この時間帯は誰もいない。

静かに響くのは、自分の足音だけだった。

ザリ…ザリ…。

その音が、やけに遠くまで伸びていく。

トイレの中も同じように無人で、

蛍光灯の白い光だけが、冷たく床を照らしていた。

普通に用を足し、手を洗っていると、

ふと、鏡の端を黒いものが横切った。

一瞬だけ、影のような、布のような、

何かがスッと動いた気がした。


「ん……?」


そう思ったけど、眠気の方が勝っていた。

頭がぼんやりして、考える気力もない。

そのままトイレを出て、車へ戻る。

バタンッ。

ドアを閉めた音が、立体駐車場全体に響いた。

さっきよりも大きく聞こえた気がした。

ロックして、もう一度シートを倒す。

眠気は限界で、考える間もなく意識が沈んでいった。

翌朝、陽の光で目が覚めた。

車で寝たせいか、身体が重く痛い。

首も腰も固まっていて、しばらく動けなかった。

ぼんやりしたままフロントガラスに目を向けて

一瞬で眠気が吹き飛んだ。

手形が、びっしり付いていた。

大小さまざまな手の跡が、

ガラス一面に重なり合うようにして残っている。


「……は?」


声にならない声が漏れた。

よく見ると、サイドガラスにも、

リアガラスにも、同じように手形が付いていた。

外側だけじゃない。

内側にも、うっすらと跡がある気がした。

一気に意識が覚醒する。

あの時、鏡の端を横切った黒い影…

あれが付けたのか?

いや、そもそも“何が”車に来たんや。


深夜のあの静けさ。

反響する足音。

鏡の端の黒い影。


全部が一気に繋がりそうで、でも繋がらない。

胸の奥がざわつくのを抑えながら、

とりあえず近くの洗車場を探すことにした。

洗車場に着くまでの数分間、

バックミラーを見るのが怖かった。

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