夜の駐車場2
とりあえず運転席を倒して、足を投げ出すようにして眠った。
時間は、24時を少し回った頃だった。
一睡もしていなかったせいか、落ちるように眠りに入った。
どれくらい経ったのか分からない。
腰の鈍い痛みで目が覚めた。
ぼんやりした視界のまま体を起こし、スマホを見ると2時だった。
画面の光がやけに冷たく感じた。
「もう一眠り……」と思った瞬間、急にトイレに行きたくなった。
眠気はまだ重いのに、身体だけが勝手に訴えてくる。
仕方なく車を出る。
扉を閉めた瞬間、空気が変わった。
街中のはずなのに、周囲は完全な無音だった。
風もない。車の音もない。
遠くの国道の音すら聞こえない。
まるで、この階だけ世界から切り離されたみたいな静けさだった。
ザリッ、ザリッ──。
歩くたびに、靴底の滑り止めがコンクリートを擦る音が、立体駐車場全体に染み込むように響く。
自分の足音なのに、距離感が掴めない。
近いのか遠いのか分からない、不自然な反響。
エレベーターの前に立ち、ボタンを押す。
その瞬間、ウィィィィン……と、
エレベーターの駆動音が異様に大きく響いた。
深夜の静けさに慣れた耳に、
その低い機械音が、まるで生き物みたいに感じられた。
眠気でぼんやりしていたはずなのに、
この“音の大きさ”だけは、妙に鮮明だった。




