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カメラマンへの囁き2

この友人は、コスプレをメインで撮っている。

だから最初は、その撮影の中で何かあったんかなと思った。

「珍しいな。普段は自分のこと言わねぇじゃん?」

そう言うと、撮影仲間は少しだけ迷うように視線を落として、

小さく「……うん」と返した。

その返事が、妙に弱かった。

コーヒーカップの縁を指でなぞりながら、

何か言おうとして、言葉を飲み込むみたいな仕草をする。

「……あのさ」

ようやく口を開いた声は、

さっきより少しだけ低かった。

「俺、最近……撮ってる時に変なもん“聞こえる”ねん」

そこで一度、言葉が途切れた。

「いや、正確には……ある子を撮ってる時だけなんや」

その言い方が、冗談じゃないとすぐに分かった。

「初めは気のせいだと思ってたんだよ…」

撮影仲間は、コーヒーを一口だけ飲んで、

カップをそっと置いた。

「でもな、こないだその子と個人撮影で、

 二人でスタジオ行ったんだよ」

その“二人で”という言い方が、妙に重かった。

「一応、スタジオ撮影だったんだけどよ。

 平日だったからか、ほぼ貸切状態でよ」

そこまで聞いて、俺はなんとなく

“静かすぎるスタジオ”の空気を想像した。

撮影仲間は、指先でテーブルを軽く叩きながら続けた。

「スタッフも最初に案内してくれた人だけで、

 あとは誰もいなくてさ。

 まぁ、よくあることなんだけどよ」

言葉の端々に、普段なら出ない“間”があった。

「でな……その子を撮り始めた瞬間なんだよ」

撮影仲間は、そこで一度だけ息を吸った。

「……聞こえたんだよ。俺の後ろで」

店内のざわつきは変わらないのに、

その言葉だけが妙に鮮明に聞こえた。

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