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見えない君に2

広めの三車線の一方通行の道。

朝の通勤で必ず通る場所だ。

無駄に広いのに、車はほとんど走っていない。

歩行者もいない。

街灯だけが、やけに間隔を空けて立っている。

毎週水曜日だけ、そこで不思議な現象が起きる。

ドライブレコーダーが誤作動を起こすのだ。

誤作動と言っても、軽いものじゃない。

「衝撃を検知しました」

という、事故を起こした時のアラートが鳴る。

だが、揺れた覚えはない。

段差もない。

道路は綺麗に舗装されている。

毎日通る道だ。

月曜も火曜も、木曜も金曜も、何も起きない。

……なのに、水曜日だけ。

決まって、事故レベルの衝撃録画が残る。

車体に傷はない。

タイヤも問題ない。

車内の物も落ちていない。

気になりすぎて、ある週の水曜日、

少しだけ早く家を出てみた。

あの道に入る前に、車を路肩に寄せて、

ドラレコの録画をリアルタイムで確認しながら走ってみようと思った。

普段なら、ただ通り過ぎるだけの道だ。

何も起きないはずだ。

……そう思っていた。

道に入った瞬間、車内の空気がすっと冷えた。

暖房はつけたままなのに、肌に触れる空気だけが薄くなる。

ラジオの音が遠くなる。

エンジン音も、タイヤの転がる音も、

まるで布越しに聞いているみたいに弱くなる。

その時だった。


ピッ。


衝撃感知のアラートが鳴った。

揺れていない。

段差もない。

道路は相変わらず綺麗だ。

なのに、ドラレコの画面には

“強い衝撃を検知しました”

の文字が淡々と表示されている。

その瞬間、画面の端に、

一瞬だけ“何か”が映った気がした。

白い……いや、灰色の……影のようなもの。

すぐに消えた。

巻き戻しても映っていない。

気のせいだと思いたかった。

でも、車を降りて道を振り返ると、

風もないのに、道の端に置かれた花が

わずかに揺れていた。

水曜日の朝だけ、あの道は静かすぎる。

……本当に、何がいるんだろうな。

ただ、ドラレコだけが、

“何かにぶつかった”と判断している。

この誤作動はなんだ?

最初は気にしなかった。

機械の不具合だろうと。

でも、ログを見返して気づいた。

衝撃感知の時間が、毎回ほぼ同じなのだ。

数秒のズレもない。

そしてもうひとつ。

その時間帯だけ、

前後の映像に“車が映っていない”。

普段なら一台くらいはすれ違うはずだ。

あの道は広いのに、完全に無人だった。

水曜日だけ。

まるで、その時間だけ、

あの道が“別の場所”みたいに静かになる。

誤作動なのか?

それとも…

俺が気づいていないだけで、

本当に“何か”が起きているのか。

考えれば考えるほど、

あの広い道の静けさが、妙に重く感じる。

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