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魅入られた子2

待つこと十五分、女友達が一人で店に入ってきた。

時間ぴったりだ。

そこはいつも通りで、少しだけ安心した。

「久しぶり、ごめんね」

と、いつもの調子で手を振ってくる。

「相変わらず人待たせるの嫌いだからって早くない?」

と笑いながら席に座った。

「女の子待たせるよりいいだろ?」

そう軽口で返すと、女友達も少しだけ笑った。

その笑い方が、どこか硬い気がした。

「てか痩せた?仕事忙しいん?」

と何気なく聞くと、

「んー……まあ、ちょっとね」

と曖昧に笑う。

いつもなら、

「聞いてよ、上司がさー!」

とか

「最近さ、夜中にラーメンばっか食べててさ」

みたいに余計な話を勝手に始めるのに。

今日は続かない。

「最近どうなん?あの店まだ通ってんの?」

と話題を変えてみる。

「うん……まあ、たまにね」

と言いながら、視線は俺じゃなくて入口の方へ向いていた。

(……なんか、様子がおかしいな)

「で? 本題は?」

と切り出すと、

「待って。本人がもう少ししたら来るから」

と、急に声のトーンが落ちた。

その言い方が妙に引っかかった。

“本人”って誰だ?

女友達の友達だろうけど、名前も言わない。

いつもなら、

「めっちゃ変な子でさー」とか

「ちょっとやばい子なんよ」とか

余計な前置きをつけてくるはずだ。

今日はそれがない。

ただ、落ち着かないように指先をいじりながら、

入口の方をちらちら見ている。

店内は静かで、コーヒーの香りが漂っている。

外の冷たい空気とは別世界みたいに暖かい。

なのに、女友達の肩だけが少し震えているように見えた。

「大丈夫か?」

と聞こうとした瞬間、

あいつが小さく息を呑んだ。

入口のドアが、かすかに鳴ったからだ。

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