冬のソロキャン4
「前回のキャンプはな、同じキャンプ場ばっかりでマンネリって感じになっちまってよ。
初めて行く県外のキャンプ場にしようと思って、パッと目に付いた場所にしたんだよ」
友人はそう言いながら、ねぎまをもう一本つまんだ。
「お前、そういうとこだけ行動力あるよな。
俺なら“パッと目に付いた場所”でキャンプしようとは思わんわ」
「いやいや、そこがええんやって。知らん場所の方がワクワクするやん」
「ワクワクで済んでたら良かったんだけどな?」
「……まぁ、そうなんよな」
友人は苦笑いしつつ、話を続けた。
「でな、遠いのもあってよ。朝早くに出て、途中で観光もして、少し遅めの到着にしてキャンプ場に着いたんだよ」
「観光してんのかよ。キャンプしに行ってんのか、遊びに行ってんのかどっちだよ」
「両方やろ。せっかく県外行くんやから楽しみたいんよ」
「はいはい」
「でな、着いたら……なんか、キャンプ場ほぼ人いなかったんだよ」
「まぁ、寒気きてたしな。あの日めっちゃ寒かったろ」
「そうそう。だから“まあ仕方ねぇか”って思って、とりあえず受付したんよ。
そしたら“自由なんで好きなサイト使ってください”って言われてさ」
「フリーサイトか。お前、トイレ近いとこ選ぶタイプだもんな」
「そうそう。俺は車泊キャンパーやし、動線大事なんよ」
友人はそう言いながら、テーブルの端に置かれた串を一本指でコツンと転がした。
「で、とりあえずテーブルと椅子、焚き火台を用意して火起こししてよ。
んで、ランタンやらなんやら準備して、設営完了したから晩飯の下拵えとかしてたんだよ」
「お前、下拵えって言葉似合わんな」
「うるせぇわ。料理はちゃんとするんだよ俺は」
「はいはい、天ぷら職人ね」
「いや、でもマジで天ぷらにしようと思ってたんよ。
途中の道の駅で地のもん買ってきてたからさ。
舞茸とか、なんかよく分からん山菜とか……ああいうの天ぷらにしたら絶対うまいやん?」
「まぁ、分かる。寒い中で揚げ物って最高だよな」
「そうそう。でな…」
友人はそこで一度言葉を切り、
ジョッキを持ち上げて、ほんの少しだけ飲んだ。
その仕草が、さっきまでの軽口とは違って見えた。
「……その下拵えしてる時にな。
“あれ?”って思うことがあったんよ」
声のトーンが、わずかに落ちた。




